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[FT]韓国、政治危機は改革の好機(社説)

2017/3/13 16:04
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 昨年末に韓国のセンセーショナルな汚職疑惑が世界的に大きく報じられると、多くの韓国人は国の恥だと感じた。しかし今、彼らは誇りに思うべきだ。

 韓国の憲法裁判所は10日、同国初の女性大統領である朴槿恵(パク・クネ)氏に対する国会の弾劾訴追可決を支持し、同氏は失職した。青瓦台(大統領府)での収賄や職権の乱用、さらには霊的儀式をめぐる疑惑まで取り沙汰され、危機感を抱いた市民による平和的な抗議デモが数カ月続いていた。参加者が100万人を超えることもあったデモは、分裂した韓国政界の双方に圧力をかけ、国会は弾劾訴追案を大差で可決した。

汚職疑惑に危機感を抱いた市民によるデモが朴槿恵氏の大統領失職につながった=ロイター

汚職疑惑に危機感を抱いた市民によるデモが朴槿恵氏の大統領失職につながった=ロイター

 憲法裁判所は、朴氏は「国を守る義務に違反した」として判事8人の全員一致で弾劾訴追を妥当と判断した。これは韓国だけでなくアジアにとっても重要だ。これにより韓国は、世論に敏感に反応して正当な手続きと法の縛りの中で繁栄する民主主義国としての信用を高めた。しかも韓国は、世界中で脅威にさらされている自由民主主義に強い刺激を与えた。

 韓国は極めて重要な岐路に立っている。韓国は今、行き詰まった財閥主体の経済だけでなく政治文化、さらには外交政策についても重要な改革を断行する好機だ。大きな番狂わせがなければ、5月の大統領選では野党「共に民主党」のベテラン政治家で元人権弁護士の文在寅(ムン・ジェイン)氏の勝利が有力視される。文氏は進歩的な価値観と、失業率が過去最悪の9%に達している若者の雇用問題に取り組むという公約で若い世代の支持を集めている。対立候補らがどう言おうと、文氏は共産主義者ではない。

 文氏は当選したあかつきには政治的縁故主義と戦い、国民を長く悩ませてきた大企業と政府の結びつきを断たなければならない。この点について、文氏の政策は間もなく是非を問われるかもしれない。サムスン電子の事実上のトップで韓国で最も強い力を持つ李在鎔(イ・ジェヨン)氏が、朴氏の罷免と関わりのある贈賄の容疑で裁判にかけられているからだ。

 韓国は近年、経済的に重要な企業の腐敗した幹部を特赦するのが慣習になっている。これは止めなければならない。李氏が有罪になった場合には相応の処罰を受けるべきだ。そうでないと、法の下で市民が平等でないというメッセージになってしまう。

■ミサイル防衛はアジアに寄与

 それにも増して切迫した問題が、北朝鮮とその脅威を増す突発的な行動だ。韓国は先週、米国製ミサイル防衛システムの配備に着手した。文氏の「共に民主党」はこれに異を唱え、適正な手続きを踏んでいなかったとして配備の再検討を求めている。しかし、ミサイル防衛システムの配備は、韓国と米国が北朝鮮の攻撃を阻止する準備ができているという明確なシグナルだ。また、中国がアジアでますます自己主張を強める中で、米韓同盟の健全性を示す証しにもなる。性急に配備を取りやめるべきではない。

 ミサイル防衛システムは技術的な能力に制約があるとはいえ、日本も重要な役割を担うアジアの安全保障に寄与する。韓国の多くの政治家は過去1世紀の対立ゆえに日本に不信感を抱いているが、両国関係を深めて強めるべき時だ。

 韓国は過去50年間の急速な発展で、経済に新たな道を切り開く存在として定評を得た。そして今、世界中の新興民主主義国家の政治的な手本、そしてアジアで地政学上の極めて重要なプレーヤーになろうとしている。次の大統領が背負うものは多い。

(2017年3月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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