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ビットコインETFは「大化け」するか

2017/3/8 11:20
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 仮想通貨ビットコインの上場投資信託(ETF)の認可について米国証券取引委員会(SEC)が審査中で、近々、判断を下すようだ。

 ビットコインを有価証券化して証券取引所に上場すれば、金融商品となり、市場の裾野は飛躍的に広がる可能性を秘める。これまでビットコインに興味はあるが、慎重に見守ってきた投資家たちにとっても、市場参入ハードルが低くなることは間違いない。

 ただし、問題点も少なくない。筆者は、金ETFが米国の証券取引所に初めて上場したとき、プロジェクトチームに加わり、SECに5回呼ばれ、もろもろ質問を受けた経験がある。

 一般的に、金やビットコインなど「エキゾチック(目新しい)」な投資媒体のETF化や上場に際し、SECが最も厳しく吟味するのは、原資産の値動きに正しく連動するか否か、ということだ。

 専門用語でトラッキングエラーと呼ばれる「原資産の値動きからの乖離(かいり)」をいかに最小限にとどめるか、その方法論を詳しく聞かれる。そこで、中心的役割を果たすのが、指定参加者(authorized participant、略称AP)という存在だ。裁定取引で、乖離を解消させる役割を担う。

 しかし、その前提として、裁定取引を可能にする一定の流動性が市場内に存在することが必要となる。マーケットメーカー、すなわち、常に売値買値を提示する市場参加者がいなくては、そもそも売買が成立しない。ビットコインの場合、実績のあるマーケットメーカーが見当たらない。

 金であれば、既に成熟した金市場が存在するのだが、ビットコインとなると証券市場での売買実績はゼロである。

 しかも、原資産=ビットコインの値動きは極めて荒い。秒単位で変動する価格に、果たして連動できるのか。経験者として疑問を感じる。

 なお、ビットコインと金はよく比較される。結論からいうと、価値の交換手段としてはビットコインのほうに軍配があがる。小売店で金塊を出しても、モノは買えない。

 これに対し、価値の保存手段としては、歴史的に、希少性に基づく実物資産の価値を有する金が優れている。

 ビットコインと金の共通点としては、中国が最大の市場ということだ。中国人投資家の人民元不信を映す現象といえよう。それゆえ当局も神経を尖らせている。中国の外貨準備が3兆ドル(約340兆円)の大台を回復したが、ビットコインの規制強化なども、その一因であろう。

 一方、金については、中国人民銀行が、外貨準備のなかで公的金保有を増やし、自ら金購入量を発表して、国際通貨基金(IMF)に申告している。

 外貨準備の7割前後がドルに偏在しているため、通貨リスク分散の一環と理解されている。更に「国際通貨」としての人民元への信認向上のための一策ともいえる。

 とはいえ、個人投資家のレベルでは、ビットコインのほうが鮮度が高い投資媒体として注目を集めていることも確かだ。SECの視点では、投機的な中国人投資家が中心的存在であることが、懸念材料とされるかもしれない。

 総じて、その話題性から、仮にニューヨーク証券取引所に上場されれば、かなりの話題となろう。しかし、派手なスタートの後、じり貧となる例もあまた見てきた。

 金ETFは、米国年金の参入によって、取引量が飛躍的に増え、一時は残高がS&P500種株価指数連動ETFをしのぐ規模にまで「大化け」した。

 ビットコインETFは、リスク耐性の強い個人投機家が顧客の中心になりそうだが、新たな「代替資産」として、一定の潜在需要は見込めるであろう。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経ヴェリタス「逸’s OK!」と日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層心理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

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