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「自動運転車の実用化は間近」の大いなる錯覚

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2017/3/31 6:30
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ITpro

 現在、人工知能(AI)技術として最も進んでいるのは自動運転技術である。既に運転サポート・アシスト機能としての提供が始まっており、世界の自動車メーカー各社がしのぎを削って開発を進めている。

自動運転のテスト走行をするZMPの「ロボカー」
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自動運転のテスト走行をするZMPの「ロボカー」

 日本においても、国内経済の柱となる自動車産業の将来を左右する技術のため、経済産業省が当初は2030年代を目標としていたレベル4(完全自動運転)の実現を、地域限定ではあるが2020年に前倒し、自動運転車を巡る社会課題の解決にも積極的に取り組む姿勢を打ち出している。

 このように導入に向けた機運は急速に高まっていることから、すぐにでも自動運転車が公道を走り出すかのように思ってしまう。だが、自動運転はそんなに簡単に実現できるのであろうか。結論から言えば、技術的観点からは“ホント”、実用・商用化の観点からは“ウソ”だ。

■研究開発が加速するAIによる完全自動運転車

 AIは古くからあるが、実は自動運転技術の歴史も古い。高速道路などで一定速度を維持するためのオートクルーズ機能など、運転サポートとしての自動運転技術は1990年代から存在していた。現在の自動ブレーキなどの運転アシスト・サポートについても、一定のルールに基づく自動化であるため、現在のAIを使った技術とは言い難い。

 そのため、AIの試みとして取り上げるべき自動運転は、機械学習を用いた完全自律走行型の技術であり、日本や米国で定義する分類で言えばレベル3やレベル4を指す。実は、こうしたAIによる自動運転技術の開発も、現在のAIブームよりも以前から行われていた。

 AIによる自動運転技術の開発に向けた明確な発端は、2000年代後半のグーグルの取り組みである。グーグルは当時CEO(最高経営責任者)であったラリー・ペイジ氏の着想を基に、自動運転車開発のプロジェクトを始めたと言われており、すぐにその活動が広く知られるようになった。

 だが、自動運転車は実用化までの道のりが長いこともあって、2010年代になるとROS(ロボティクス・オペレーティング・システム)というバズワードに変わり、自動車だけでなく人間の作業を代替するロボット全般に対するソフトウエア技術として認知されるようになった。そうしたROSブーム、ロボットブームの最中でも、米グーグルや自動車メーカー各社は水面下で自動運転車の開発を進めていた。

 2015年10月にはトヨタ自動車が走行実験を実施した。それを皮切りに自動運転車の開発を明らかにし、関連技術を巡る提携や買収にも乗り出している。さらに2016年1月に、AI研究のための新会社TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)をシリコンバレーに設立し、5年間で10億ドルもの投資も実施する計画だ。

 他の企業も自動運転車の開発を加速している。グーグルが事実上、自社単独での自動走行運転車の開発を断念したこともあり、ホンダはグーグルと技術提携し、完全自動運転の共同研究を始めた。日産自動車も2017年1月に、カルロス・ゴーン社長が日本での完全自動運転車の走行実験を始めることを明らかにした。海外でもドイツのダイムラーやBMW、米フォード・モーターなどが、相次いで技術開発状況を公表している。

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