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[FT]仏大統領選の経済政策、革命でなく改革で競え(社説)

2017/2/17 14:00
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 欧州委員会の最新の経済見通しから判断すると、フランスの次期大統領はブリュッセルと衝突することになる。これまで何度もユーロ圏の財政ルールを守れなかったフランス政府は2018年まで、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%未満に抑える規定を達成できない見通しだ。

 GDP比で約97%の公的債務を抱えるフランスは、財政の持続可能性を高める必要があるが、フランス経済には欧州連合(EU)の安定成長協定に対する違反よりも大きな脅威がある。

 フランス大統領選に向け先行するマリーヌ・ルペン(極右政党「国民戦線」党首)、ブノワ・アモン(前国民教育相)、フランソワ・フィヨン(元首相)の3氏は、急進的な変革がなければフランスは衰退する運命にあると思い込んでいる。これはフランスの支配層の年来のコンセンサスだ。そして現在、左派の有権者も右派の有権者も同じように思い込んでいる。

 大統領選の第1回投票に関する世論調査でトップに立つルペン氏は、フランスをユーロから脱退させ、公的債務の大部分を新たな自国通貨建てに替えるとしている。これは史上最大の国家デフォルト(債務不履行)を引き起こし、EUの事実上の終幕につながるだろう。ルペン氏の他の政策構想は、これに比べれば小さなものになる。

 社会主義者のアモン氏も、投資家にとってほぼ同等に恐ろしい構想を抱いている。安定成長協定を改正し、欧州の周縁諸国にのしかかっている債務を帳消しにするという。アモン氏は、EUが債務を相互化して債券を発行し、共通の財政政策を持つとしている。それなりの訴求力はある構想だが、政治的な現実にそぐわない。また、労働市場改革の引き戻し、週35時間未満への労働時間削減、全国民の最低所得保障の財源に充てるロボットへの課税という内政政策の構想は、雇用を生み出さない。現時点でアモン氏は第1回投票を通過できないとみられているが、もう一人の左派候補ジャン・リュック・メランション氏(元上院議員)が支援に回れば流れは変わりうる。

 これと対照的に、フィヨン氏は市場寄りの集中的な改革を公約している。法人税の引き下げ、労働への課税、年金支給開始年齢の引き上げ、労働時間の延長、公的部門の人員削減などだ。

 主流派の候補、それも保守本流の候補にとっては、これもまた漸進的な改革という従来路線からの急進的な転換だ。ただし財政に関しては、フィヨン氏も2020年より前に赤字を3%未満に抑えることは考えないとしている。

 このようななかで有権者にとって最も急進的なメッセージになるのは、少なくとも経済的にはフランスはそれほどひどい状態ではない、と告げることかもしれない。確かに、経済成長はドイツに後れを取っている。中にいる労働者を保護して若者を罰する労働市場から、あまりに多くの人が締め出されてもいる。国の役割を小さくする必要もある。

 だが、フランスは大きな可能性を秘めている。人口動態はドイツよりもはるかに良好だ。労働者の生産性も相対的に高い。歴代政権が労働市場改革を避けてきたため、労働参加率の向上と労働時間の延長を目指す継続的な取り組みによって、トレンド成長率を押し上げることができる。そうなれば、極端な緊縮を伴わずに公的債務を安定させることが可能になるはずだ。

 エマニュエル・マクロン氏(前経済産業デジタル相)は経済的な楽観論を示す唯一の候補で、規制緩和と従来型の社会的保護の融合を唱えている。マクロン氏が経済閣僚として追求した政策は因習打破を感じさせたが、今や対立候補らの政策と比べておとなしく思える。問題は、マクロン氏がまだ政策を詳しく示していないことだ。速やかに、そうする必要がある。

 フランスの有権者は、自分たちを見捨てた現状から抜け出したがっている。破壊的な絶望感に傾かなければ、これは有益な感情だ。フランスは変革を必要としている。だが、自国が作り上げたシステムを焼き払う必要はない。

(2017年2月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


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