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[FT]「マネタイズ最高司令官」に米国が支払うツケ

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2017/2/17 6:30
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 「個人的なことは政治的である」と言ったのが誰にせよ、その人はトランプ米大統領を念頭に置いていたわけではない。先週1週間だけで、トランプ氏は長女イバンカさんの名前を冠したブランド商品の販売を打ち切るとした百貨店を非難し、続いてコンウェー米大統領顧問がテレビの視聴者に向かって、イバンカさんの商品を買うよう呼び掛けた。一方、ファーストレディーのメラニア夫人は、自分がお金を稼ぐ「一生に一度」のチャンスが中傷報道によって台無しになったとの理由で新聞社を提訴している。

 米国の歴史上、これほど多くの利益相反に近い騒ぎを引き起こした大統領はいない。しかも、これは大統領の家族だけの話だ。「トランプ株式会社」は米国最新の第4権力になりつつある。

■個人的利益を得る能力、途方もなく大きく

 大統領職から個人的な利益を得るトランプ氏の能力は、途方もなく大きい。同氏がある会社に批判的なツイートを発信するたびに、その会社の株価は一時的に急落する。1分前に知らされていたら、抜け目のない人物ならば問題の株を空売りすることで、このダメージをマネタイズ(収益化)できる。インサイダー取引関連法の連邦レベルでの執行は米証券取引委員会(SEC)が担っており、トランプ氏はそのSEC委員長にウォール街の弁護士ジェイ・クレイトン氏を充てたいと考えている。

 厳密な解釈では、トランプ氏はすでに、現職の公職者が外国政府から贈答を受けることを禁じた米国憲法の報酬条項に違反している。どこかの大使館がトランプ・インターナショナル・ホテルの宴会場を借りるたびに、そのお金は大統領の懐に収まるからだ。利益相反は米連邦調達庁(GSA)が審査しているが、そのトップを任命するのはトランプ氏だ。

 だが、米国の裁判所は恐らく、トランプ氏を相手取った訴訟に近づかないだろう。原告は、被害を受けたことを立証しなければならない。トランプホテルの高い稼働率や、活況を呈する同氏のゴルフ場によって、個人的に損害を被ったことを誰かが証明できるとは思えない。トランプ氏は納税申告書を公表するのを拒んだため、潜在的な利益相反の多くは隠されている。つまり、トランプ氏は何の罰も受けずに、こうした利益を懐に入れられるわけだ。

 トランプ氏が外国から直接賄賂を受け取らない限り、司法が同氏の抑止役を果たすことを期待しないほうがいい。米議会は、それ以上に期待できない。トランプ氏の共和党の同僚は、誰よりも同氏のビジネスの利害を探る作業に乗り出しそうにないうえ、大統領の弾劾に動く可能性はさらに低い。行く手は大きく開けている。制度上、トランプ氏は引きずり降ろされるだろうと期待するなら、希望的観測を抱くという罪を犯している。

■中国、イバンカ夫妻に外交資本投入

 だが米国の民主主義――そして世界的な名声――への打撃は計り知れない。米国の第45代大統領へ影響を与えたい人は、大統領の家族、特にイバンカさんと夫のジャレッド・クシュナー氏を通すのが一番のルートだと知っている。

 中国はすでに、イバンカさんと、大統領の信頼が最も厚い顧問とみられているクシュナー氏に言い寄ることに外交資本をつぎ込んだ。在米中国大使館で開かれた旧正月(春節)のレセプションにイバンカさんが出席したことは、その数日後、トランプ氏が中国政府の「一つの中国」政策を是認したことに一定の役割を果たした可能性がある。

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