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[FT]復活を遂げる本 ベゾス氏も紙が好きだから

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2017/2/10 6:30
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 今から10年前、米アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏はニューヨークで電子書籍端末「キンドル」を発表した。その際「本はあまりに高度に発達し、読書の目的に適しているため、本に取って代わるのは非常に難しい」と言い切った。同氏は正しかった。キンドルが引き起こした破壊的なデジタル革命にもかかわらず、アマゾンは今春、マンハッタンに書店をオープンする。

 本が復興する兆しは至る所に見える。英国の書店チェーン大手、ウォーターストーンズは6年間赤字に苦しんだが、昨年、黒字転換した。米国では、書籍(注:この記事では単に書籍とした場合、紙の書籍を指す)の販売部数が3%増加する一方、電子書籍の販売が減少した。デジタル技術は出版界で、音楽やテレビ、ニュースと同じような革命を解き放つには至っていない。我々はまだ紙の本を読むのが好きなのだ。

 伝統的な価値観は、冷たくハードな技術に勝る――そんなホッとする話として、本の持つ息長い人気は広く称賛されている。だが、これは物語の全体像ではない。この話は、アマゾンの成長物語としても読むことができる。値段を下げれば人はもっと買い、値段を上げれば買うのを減らすのだ。

■電子書籍の方が高くなった

 顧客は書籍の感触を楽しんでいる。米国人は平均して年間12冊の本を読む。その大半は物理的な書籍だ。一方、顧客は低価格も好きで、電子書籍が比較的高価なことが気に入らない。ジョン・グリシャムの新作ベストセラー「ザ・ウィッスラー(告発者)」をみるといい。同書は今週アマゾンで、ハードカバー版が14.47ドル、キンドル版が14.99ドルで売られていた。

 新たな現実がそこにある。英ペンギン・ランダムハウスや米ハーパー・コリンズといった大手出版社の電子書籍は、ペーパーバック(日本の文庫本に相当)のみならず、ハードカバーよりも値段が高いことが多い。ベストセラーを9.99ドルに値引きし、電子書籍を紙の本より安くしてキンドルを大量に行き渡らせようとベゾス氏が10年前に取り組んだことは、次第に立ち消えていった。今では状況が逆転し、アマゾンは書籍を優遇している。

 言い換えれば、私たちが見てきたのは、アマゾンのデジタル覇権に対して愛書家が起こす革命ではなく、ベゾス氏の戦術変更である。あるアナリストによると、アマゾンは2016年米国で、2015年より3500万冊多く書籍を販売し、旧来のライバル、バーンズ・アンド・ノーブル(B&N)からいよいよ大きな市場シェアを奪った。米国の独立系書店で紙の本の販売が200万部増加したことは、ほんの余興だった。この10年、アマゾンと大手出版社の容赦ない戦いを目の当たりにしてきた人たちにとっては、不可解だ。

 これまでベゾス氏が業界を革新しようとする一方、出版社は同氏を阻止しようとしてきた。米アップルと大手出版社が共謀して電子書籍の価格をつり上げたことをめぐる2012年の反トラスト法(独占禁止法)訴訟では、ベゾス氏は米国政府さえも味方につけた。

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〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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