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快適なヒューストンマラソン 偽の余裕が失速招く
編集委員 吉田誠一

(1/3ページ)
2017/2/4 6:30
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 久しぶりに米国の大会で走りたい。声援がすごいからなあ。どうせなら未知の土地がいい。テキサス州なんてどうだろう。1月15日のヒューストンマラソンに挑んだ動機はそんなところだ。

 55歳になった1月13日の昼、成田をたった。その直前、大会主催者から注意喚起のメールが届いた。「今回は記録更新を狙う気象条件ではありません。ペースを落としてください」。その配慮はありがたい。しかし、うれしい通知ではない。

「ゆっくり走って」の注意喚起

最初から上半身は裸のランナーもいた

最初から上半身は裸のランナーもいた

 気温が高くなるのは、それ以前に天気予報のサイトをあちこちのぞき承知していた。最高気温が28度になるというとんでもない予報もあった。

 ふだんは天気予報がはずれ雨が降ったりすると、頭にくるというのに、こういうときだけは「はずれてください。もう天気予報に文句は言いませんから」とお願いする。せっかくヒューストンまで飛ぶのですから、せめて20度まででお許しください。

 しかし、主催者は祈っても仕方がないと判断したのだろう。「ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり走ってください」と念を押した。

 同じく13日の午前7時にヒューストンに到着した。この日の最高気温は25度。平年より8度高いらしい。ほとんどの人が半袖シャツで歩いている。マラソンを走るわけでなければ、しのぎやすくて最高だろう。

 天を恨んでも仕方がない。振り返ってみると、気象条件がバッチリだった大会などほとんどない。暑かったり、寒すぎたり、風が強かったり、雨が降ったり。それが嫌なら空調の効いた室内で走るしかない。

 そもそも、何事も自分が望んだとおりにはならない。自分を中心に世界が回っているわけではないし、世界は自分のためだけにあるわけではない。別にそれは悲しいことではない。

 結局、レース当日の15日の最高気温は24度(最低は17度)だった。同日の東京の最高気温が5度。私の体はかなり困った状態にあったと思うが、それがタイムにどの程度、響いたのかはわからない。

 レースのスタートは午前7時。だから3時半に起きて朝食を取る必要があった。しかも時差が15時間。体内時計はぐちゃぐちゃで「いま何時?」という感じだったかもしれない。

 発着会場のコンベンションセンターはダウンタウンにあるので歩いていける。5時すぎにホテルを出たが、全く寒くない。

 予想していなかったことだが、この大会はものすごくよくできている。参加者が快適にレースを楽しめる。これまで経験した大会の中で最高の部類に入る。「☆」5つなのは間違いない。

ストレスをゼロにする大会設計

昼過ぎは雨がパラパラと落ちる時間帯もあった

昼過ぎは雨がパラパラと落ちる時間帯もあった

 この快適さの源は発着会場のコンベンションセンターのスケールの大きさにある。ハーフマラソンを合わせると1万5000人もの参加者が集まるのに、入場時に混み合わず、あり余るほどのスペースでゆったりできる。

 仮設トイレがフロア内にたっぷり用意されているので、それほど並ばずに済む。トイレはスタートブロックにもたくさん並んでいる。荷物預かり所も混まない。キリスト教のミサが執り行われる一角まであるのだから驚く。

 ゴール後はパイプ椅子が並べられているのもうれしい。椅子に腰掛けて着替えができる。大規模なフードコートがあり、おいしいわけではないが、無料で飲食ができる。信じられないほどの座席数なので混み合わず、働くボランティアがテキパキしていて気持ちがいい。

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