自動運転

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

勝負は夜間・雨天 デンソー、競争力生む「山奥の基地」

(1/2ページ)
2017/1/25 6:30
共有
保存
印刷
その他

日経テクノロジーオンライン

 「今後5年で、カメラやセンサーはかなり多くの新車に搭載されていく。きちんと性能を評価できることが我々の競争力になる」――。

 デンソーの常務役員で技術開発を担当する加藤良文氏の読みである。運転支援システムや自動運転に向けた部品において、「品質の作り込み」(同氏)に注力する開発方針を示した。同社が品質を作り込む上で重要な拠点になっているのが、愛知県岡崎市に構える「額田テストセンター」である。

 名古屋駅からバスに揺られること1時間半。人里離れた山奥に、東京ドーム約21個分に相当する総面積100ヘクタール(1平方キロメートル)の施設が現れた。

 額田テストセンターの開設は1984年。全長2.6kmの周回路を始め、浸水路や登坂路など、様々な環境を模擬した部品の耐久性評価を実施してきた(図1)。積み重ねてきた30年の歴史をあちらこちらに感じながらコースを見学していると、“白さ”を保った建屋が目に飛び込んできた。「自然環境試験棟」。建屋の外壁にはこう記されていた。

図1 デンソーの「額田テストセンター」。筆者は2016年12月8日に視察した
画像の拡大

図1 デンソーの「額田テストセンター」。筆者は2016年12月8日に視察した

図2 全長200mの屋内コースを備える自然環境試験棟
画像の拡大

図2 全長200mの屋内コースを備える自然環境試験棟

 自然環境試験棟の最大の特徴は、夜間と雨天を再現できることだ。交通事故総合分析センター(ITARDA)によると、歩行者死亡事故の約7割が夜間に起こっている。晴天に比べて視界の確保が難しい雨天時も、事故を起こしやすい。

 こうした事故リスクの高い状況でも、きちんと自動ブレーキなどADAS(先進運転支援システム)が機能するように、この試験棟で性能を評価できるようにした。全長200mで幅10mの直線コースを屋内に備え、再現性を確保した状態で試験車両を走らせることが可能だ(図2)。

 自然環境試験棟が完成したのは2014年8月だが、ここにきて開発の成果物も出始めている。夜間の歩行者認識を可能にした車載用画像センサーがそれだ。欧州や日本の自動車アセスメント「NCAP」が2018年に追加予定の、夜間の歩行者への自動ブレーキの評価に対応することを狙う。

■150灯で晴天から月明かりまで再現

 「照明を落としてください」。試験の担当者が指示を出すと、自然環境試験棟に150灯配置した照明は、二つを残して消灯した。明るさは2~3lx(ルクス)で、夜間に街灯が点いている状態に近い。NCAPの試験シナリオは決定していないが、「この明るさでヘッドランプを照らした状態を想定している」(同担当者)という。

図3 肉眼では写真中央に2本の足がわずかに見えるほどの暗さ。それでも画像センサーは歩行者を模したダミー人形の存在を認識できた
画像の拡大

図3 肉眼では写真中央に2本の足がわずかに見えるほどの暗さ。それでも画像センサーは歩行者を模したダミー人形の存在を認識できた

 ヘッドランプで照らす数十m先には、歩行者を模したダミー人形がある。肉眼でははっきりと見えなかったが、新開発した画像センサーは確かに人の存在を捉えた。高感度で光量の少ない夜間でも正確に被写体を撮影できるソニー製のCMOSイメージセンサーを採用したことが効いた。

 試験の担当者が「街灯も消してください」と発すると、試験棟は一段と暗くなった。明るさはわずか0.02lxという。それでも、画像センサーはダミー人形を歩行者として検知し続けた(図3)。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

日経BPの関連記事

【PR】

自動運転 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

図1 マツダ執行役員車両開発本部長の松本浩幸氏

システムは「副操縦士」、マツダの自動運転は人間中心 [有料会員限定]

 運転者が介在せずにクルマが自動で移動する完全な自動運転車。多くの自動車メーカーが開発の目標に据える中、マツダが目標として選択したのは「運転者のバックアップとして機能する自動運転車」だ。

 運転の主役は…続き (6/27)

ボッシュが発表したコンセプトカー。車内でビデオ会議ができる

自動運転だけじゃもうからない 鍵は「コネクテッド」

 完全自動運転車を社会に実装するには、多様な先進技術が求められる。AI(人工知能)技術を用いた自動運転ソフト、ディープラーニング向けの車載コンピューター、周辺認識のための車載センサー、センサーデータか…続き (6/23)

図3 TeslaのSUV「モデルX」は、上下方向に開閉する後部ドア「ファルコンウィングドア」を採用した。見た目のインパクトだけでなく、使ってみると乗降性の向上に効いていることが分かる

ドイツ3強も危機感、テスラが突きつける高級車「再定義」 [有料会員限定]

 電動化や自動運転、サービス化の波が、高級車市場に押し寄せ始めた。この変化は、歴史と伝統に裏打ちされた強さを持つ“ジャーマン3”(ドイツのDaimler、BMW、Audi)にとっても脅威だ。スウェーデ…続き (7/21)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

2017年7月21日付

  • アマゾンのアプリで実店舗の決済を―「Amazon Pay Places」が始動
  • ユーザーはいつサイトを見ているのか? 「朝型サイト」「夜型サイト」行動ログ調査
  • 近い将来に飛躍的進歩が期待される最新テクノロジー5選

日経産業新聞 ピックアップ2017年7月21日付

2017年7月21日付

・ソニー、画像センサー14%増産、自撮りや車載向け需要増で
・スマホゲーム、登場キャラ前面 配信前にファン獲得
・賃貸ビルの省エネ導入、「グリーンリース契約」でオーナーにも利益
・三井金属、四輪車用の排ガス触媒を増産 中印など5カ国で
・東レ、スマート衣料で連携 心電計の共同開発など…続き

[PR]

関連媒体サイト