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福島事故処理費「東電が負担を、料金上乗せ反対」最多
第300回解説 編集委員 木村恭子

2016/12/8 2:00
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 東京電力福島第1原子力発電所の廃炉や賠償などの費用が、従来想定の11兆円から大幅に上振れする見込みとなったことについて、電子版の読者にお聞きしたところ、「仕方ない」との答えが最も多く、38.0%でした。

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 一方、増大する費用負担に関しては、「東京電力が負担し、電気料金への上乗せはすべきでない」と答えた読者が32.4%に上り、以下、「東京電力が負担し、電気料金への上乗せは仕方ない」(17.9%)、「東京電力に加え大手電力会社も負担すべきだ」(17.1%)と続きました。

 費用が膨張することに対して「仕方ない」と考える読者は、福島第1原発事故が想定外の事態だと認識し、費用算出も難しいとして、費用増大を受け入れる姿勢が目立ちました。

 「事が事だけに、予想通りにいかない」(62歳、男性)

 ただし、「何にどういう理由で費用がかかって、今後さらにかかる見込みなのかは整理してもらいたい」(33歳、男性)と、情報開示を求めています。

 一方で、これまでの行政による試算の甘さゆえに、あきらめからくる「仕方ない」との声も。

 「費用が上振れすること自体は納得できないが、行政の試算は、最初は何事も甘く出すので大幅増自体は予想できること」(36歳、男性)

 次に多かった「納得できない」(32.4%)についても、この試算の甘さを東京五輪・パラリンピックの計画見直し問題になぞらえて指摘する読者が少なくありませんでした。

 「情報を小出しにして感覚をまひさせておいてから、仕方がないこととして膨大な上振れ額を開示する。オリンピックと同じ手口ですね」(67歳、男性)

 また、費用の上振れに納得できない読者の中には、膨張の要因に賠償の長期化が含まれていることから「過剰な賠償」(57歳、男性)に対する不信感を抱いている様子がうかがえました。

 一方、費用の膨張を「当然だ」(26.5%)と受け止めている読者は、「技術的に未解決な問題が多い。解決するための資金と時間が必要だ」(69歳、女性)、「これだけの規模の事故に対して、目の前に見える費用以外にも、莫大な費用がかかるのはおかしくない」(57歳、男性)との認識です。

 さらに、「ある意味、人類初の壮挙なのである。金をいくらかけたとしても将来に禍根を残す中途半端な処理で済ませるわけにはいかない」(49歳、男性)と、「やるなら徹底的に」との立場の読者も。

 そのため、「デブリ(溶け落ちた核燃料)の処理を含めて考えると、まだまだ見積もりが甘いのではないでしょうか」(66歳、男性)と、さらなる費用増を指摘する声もありました。

 一方で、「世間を鎮静化するために、すべてがうまくいった前提で試算されてきたのでは」(57歳、男性)と、皮肉をこめて上振れを「当然」とみる読者も散見されました。

回答者の内訳
回答総数848
男性94%
女性6%
20代3%
30代8%
40代15%
50代22%
60代35%
70代12%
80代以上4%

小数点以下は四捨五入
のため100にならない

 膨張する費用の負担のあり方について、他の選択肢と比べて圧倒的に多かった「東京電力が負担し、電気料金への上乗せはすべきでない」と回答した読者は、事故の責任は東電という会社にあり、それを利用している消費者には関係はない――との立場です。

 「原子力発電単価が、最も安いと長年強弁してきたわけだから、その間にもうけて蓄積した資産を売却しても、東京電力が負担し、電気料金への上乗せをすべきではない」(65歳、男性)

 さらに、東電以外、特に電力自由化に伴い新たに参入した電力の小売会社(新電力)への費用負担に対しては反対の姿勢をとる意見もありました。

 「新電力に負担させるのは理解できない。何のために新電力をいれ市場を自由化するのか、意味を持たなくなる」(35歳、女性)

 一方、東電に加えて利用者も費用負担を容認する「東京電力が負担し、電気料金への上乗せは仕方ない」と答えた読者からは、次のような意見が寄せられました。

 「事故を起こしていない他の電力会社が負担するのはおかしい。東京電力が起こした事故は一義的に東電管内の電気利用者が負担すべきだ」(37歳、男性)

 「基本原則は原因者負担なので、原因者が料金上乗せすることは個人的気持ちからは割り切れないが行動原理としては理解する。賄いきれないならば、他社にツケを回すのは不合理。国に支援を要請すべき」(36歳、男性)

 東電だけでなく、「大手電力会社も負担すべきだ」との立場の読者からは、「新電力の負担は言語道断」(66歳、男性)と、やはり新電力の負担には否定的です。

 他方、大手の電力会社については「沖縄電力を除いた8電力事業者で原子力発電所を持っており、継続運転を計画していること、今までも積み立てを行っていることから、今後も負担すべきと思う」(71歳、男性)と、東電と同じカテゴリーだととらえています。

 政府は、福島第1原発の事故による賠償費の一部を新電力に負担させることを検討していますが、「東京電力に加え大手電力会社、新電力も負担すべきだ」と答えた読者(14.2%)からは、次のような意見がありました。

 「再生可能エネルギーの賦課金を大手電力、新電力の双方の利用者が負担するのだから廃炉費用も負担すべきである」(28歳、男性)

 新電力に負担を強いる引き換えとして、経済産業省は大手電力会社が原子力や石炭火力発電所でつくった安い電気を義務的に新電力に供給させる「新市場」の創設案をまとめ、新電力の電気の調達を支援する意向を示しています。

 新電力側の対応が気になるところです。

 最後に「税金による負担を拡大すべきだ」と考える読者(13.4%)は、原発を民間企業の事業ととらえず、国全体の政策だとする認識が強いようです。

 「原子力発電への動きは国主導で進めた面もあり、その失敗を東電だけで担うのは無理がある。納得したくはないが、早く廃炉にし、再生エネルギーへの切り替えを急ぐには税負担も仕方がない」(61歳、男性)

 今回の調査(3~6日)にご協力いただいた読者の皆さんによる安倍内閣の支持率は49.1%と50%を割り込みました。前回調査の74.1%と比べて25ポイントの減少です。

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 「支持しない」と答えた読者のコメントを見ると、「小泉純一郎元首相の言う通り、即座に脱原発は可能だ。それができない安倍内閣は、無能と言うしかない」(64歳、男性)など、設問のテーマによる影響があったように思います。

 また、タイミングとしても、調査直前の2日にカジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)が、衆院内閣委員会で自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決されたことから、この動きへの反対も目立ちました。

 「カジノ法反対」(68歳、男性)

 「アメリカ型の統合型リゾートは、世界中にあり、日本に勝ち目はない。カジノへの過剰期待は、禁物である。地道に国際会議や展示会、ライブなどを誘致するための施設やサービスの整備を進めることが大事ではないか」(64歳、男性)

 8日の日本経済新聞朝刊「視点・焦点」面では、福島第1原発の事故処理の費用問題に関する特集を組んでいます。併せてお読みください。

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