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もっと高いところへ ダルビッシュの深き思考力
スポーツライター 丹羽政善

(1/4ページ)
2016/10/17 6:30
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 浅草に来た八五郎がやじ馬を見つけてのぞくと、そこには行き倒れの人が。粗忽(そこつ)もので知られる彼は、なぜかすっかり、同じ長屋の隣に住む熊五郎だと思い込む。まわりの人から「本当か?」と聞かれると、「間違いない。今から当人を連れてくるから」。

 長屋で寝ているところを起こされた熊五郎も粗忽もの。八五郎から、「お前が死んでるぞ」と聞かされると、そんなはずはない、といいながらも、「夕べ飲んだ後、観音様の脇を抜けたまでは覚えているが、それから先、どうやって家までけえってきたもんかな」と自信をなくす。

ダルビッシュは手術による離脱を「勉強する機会が増えた」と語る=共同

ダルビッシュは手術による離脱を「勉強する機会が増えた」と語る=共同

 「お前は粗忽ものだから、死んだのがわからないんだ」といわれて、一緒に現場へ。「ほら、お前だろ」といわれて、熊五郎も死体が自分だと思い込み、引き取るため、抱きかかえたところで、オチがつく。

 「抱かれてるのは確かに俺なんだが、抱いてる俺は、いってぇ、誰だい?」

 柳家小さん(五代目)らが得意とした古典落語「粗忽長屋」である。死んでるのは俺なのか? だとしたら、その死んでる俺を抱きかかえている俺は誰なんだ? 粗忽ものの滑稽さがユニークだが、設定、発想の妙がうかがえる。

 話は変わって、さかのぼること8カ月。

 目の前で、表情豊かに、自分の考えを臆さず語るダルビッシュ有(レンジャーズ)がいったい誰なのか、混乱することしばしば。

トレーニングから教育まで自らの言葉で

 いったん、話を始めると、取材、雑談の境界線が曖昧なまま、時には30分を超えることも。過去4年間、そういう機会は少なかっただけに、いったい、そんなダルビッシュこそ彼の素なのか、はたまた、メディアとは一定の距離を置いてきたのが本来の姿なのか、当人同士に並んでもらって比べない限り、判断がつきかねたが、3月も半ばを過ぎた頃、ダルビッシュは苦笑しながら、「もともと、おしゃべりなんです」と話し、少し含みのある表情で続けた。

 「元に戻っただけ」

いったん話を始めると、時に30分を超えることもある=共同

いったん話を始めると、時に30分を超えることもある=共同

 その背景には、いろいろなことがあったよう。本当にいろいろなことが。その点に関しては、我々メディアの自省も込めていつか触れたいが、いずれにしても、年間を通して――特に、比較的時間に余裕があったキャンプ中など、他の記者らと一緒に彼を囲む機会が増え、そうした時間を通して、ダルビッシュの考え方の一端に触れた。

 気づいたのは、彼の奥深い思考力である。話題はトレーニングから教育まで多岐にわたったが、政治家が手元の紙を見ながら棒読みするのとは対照的で、彼はそれぞれのことに対し自分の意見を持ち、その理由を自分の言葉で説明することができる。

 今回、その言葉のいくつかをたどっていきたい。

 まず3月5日。右肘に違和感を覚えてから、1年がたっていた。肘のじん帯再建手術を受けたこの1年はどういう時間だったかと問われると、むしろ明るい表情だった。

 「結局、1年間野球と離れていろいろ勉強する機会が増えるわけじゃないですか。それですごく自分の知識が増えてるし、あのまま普通に1年間野球をやっていたらここまで進めたと思えない。そういう意味で良かった」

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