CTO30会議

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

「事業転換」成功の秘訣 富士フイルムCTO
CTO30会議(3)

(1/2ページ)
2016/8/10 6:30
共有
保存
印刷
その他

日経BPクリーンテック研究所

 デジタルカメラが普及したことで、富士フイルムの売り上げのほとんどを占めていた写真フィルムの需要は激減した。同業の米Eastman Kodakでさえ連邦倒産法を申請するほど大きな、業界の地殻変動だった。こうした中で富士フイルムは、コア技術の使い方や適用分野をシフトさせることで、華麗な転身をしてみせた。

 医療機器や高機能材料により、同社の業績は好調だ。その立役者は、化粧品や医薬品の事業を立ち上げ、2016年6月末に同社副社長兼CTO(最高技術責任者)に就任した戸田雄三氏。同氏はその経験を基に、日経BP社が主催する次世代CTOが集うフォーラム「CTO30会議」でCTOの役割について講演した。今回、改めてCTOの必要性やその背景、求められる資質などについて聞いた。

――CTOの役割は何ですか。

富士フイルムの戸田雄三副社長(写真:新関雅士)
画像の拡大

富士フイルムの戸田雄三副社長(写真:新関雅士)

戸田 企業の価値を最大化することがCTOにとって一番重要な役割です。今の時代、IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)など技術がビジネス環境を大きく変えています。技術革新が産業を大きく変化させるトリガーになります。CTOこそが主役となってビジネスを大きく育てる時代なのです。

――富士フイルムが化粧品や医薬品など新しいビジネスを育てるときに、最初にしたことは何でしたか。

戸田 コア技術の見極めです。現在のコア技術と育てていくべき将来のコア技術。富士フイルムにとって、まずやらなければいけないことは、このコア技術を定義することでした。どこを自社の強みとするのか、技術的な優位性はどこにあるのか。これを見極めて定義しなければなりません。

 そのためには、ビジネスを取り巻く環境についても知らなければなりません。現在の環境と、これから世の中がどの方向に向かい、その先にどのような世界が待っているのか。

 富士フイルムの場合は、化粧品産業や医薬品産業を取り巻く環境を知らなければなりませんでした。その業界がどう変化し、将来はどのようなニーズが生まれるのか。将来求められることを理解したうえで、その時に必要とされるコア技術を定義し、今から磨いていくわけです。

 「環境の変化の見通しからコア技術の定義」まで、これがまさにCTOがしなければならない仕事です。

――CTOとCEO(最高経営責任者)との役割の違いは何でしょうか。

戸田 CTOの役割は、仕掛け人として新しいビジネスモデルを提案することだと考えています。どの技術、どのようなビジネスをするのか。成功するか失敗するかは別として、まずは提案することが必要です。将来に向けた夢を描くのです。

 これに対してCEOは、経営という観点から優先順位を決めます。それを具体的な課題として落とし込む役割を担います。

 CEOが経営者としての腕を振るえるよう、CTOがアイデアを出すわけです。それも、CEOがしっかりと判断できるように予算、人員配置、生産体制、納期、コアコンピタンスなどを含めた、具体的なアイデアにする必要があります。

――そこまでいくと、CTOの範囲を超えているようにも思えます。

戸田 ビジネスを作るわけですからCTOのカバー範囲は広くなります。場合によっては越権行為に見えるかもしれません。でも越権行為をするくらいでいいのです。越権行為をする人が多い会社は、間違いなく優れた会社です。私も部下にはどんどん越権行為をするように言っています。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

CTO30会議

日経BPの関連記事

【PR】

CTO30会議 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

技術先行でなく顧客ニーズ起点、100事業展開のオムロン

 オムロンは1933年の創業時から、顧客のニーズに応える形で一つひとつ事業を立ち上げてきた。今では100以上の事業を持つ。企業全体として特定の事業に依存することはなく、最大規模の血圧計分野でも売上高は…続き (3/14)

写真2 IoTでは日本の強みが生かせると話す宮部専務(撮影:新関雅士)

IoT、日本の勝機は「T」にあり パナソニック宮部CTO

 パナソニックは1918年に大阪の町工場から始まった。創業当時の従業員数は3名だったが、約100年が経った今は世界全体で約25万6000人という大企業になった。パナソニックというと家電のイメージが強い…続き (1/18)

健康診断を受ける新入社員

医療費問題、高品質データで生活習慣病防ぐ 経産省

 CTO(最高技術責任者)がビジョンを描く場合、「社会的課題の解決」を発想の起点とすることがある。この際、重要なのはどの社会的課題に注目し、その本質がどこにあるのかを見抜くことだ。今回は、深刻な社会的…続き (2016/12/14)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2017年3月29日付

2017年3月29日付

・レジ係ロボ用ソフト ヴィンクス ペッパーなどPOS連動
・自動運転 ガラスも進化 旭硝子が愛知工場でプレス生産
・鈴茂器工 飲食店向けロボを進化
・ケーヒン HV電子制御部品を増産
・日清オイリオ インドネシアでチョコ生産…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト