スポーツ探Q

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

スポーツのネット放映権高騰 キーマン2人に聞く

2016/6/7 3:30
共有
保存
印刷
その他

 スポーツのインターネット向け放映権が世界的に高騰している。日本にもその波は押し寄せる。バスケットボール男子の新リーグ「Bリーグ」が通信大手ソフトバンクと結んだ、ネット放映権込みのスポンサー契約は推定で4年総額120億円。なぜネット向けの放映権がこれだけ膨らむのか、国の内外で事情に詳しい2人に聞いた。

ソフトバンクの今井専務

ソフトバンクの今井専務

今井康之・ソフトバンク専務

 ソフトバンクは3月、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末向けの有料スポーツ中継サービス「スポナビライブ」を始めた。今後始める他社携帯の利用者向け料金は月額3000円だが、ソフトバンクのスマホ加入者は500円で利用できる。Bリーグ1部の全試合もスポナビライブで生中継される。同社の今井康之専務がその狙いを語る。

「スリリングで速い展開、スマホで伝える」

 ――ソフトバンクがBリーグと契約した経緯は。

 「スマホでお客様へのサービスとして次に何を見せられるかと(ソフトバンクグループ社長の)孫正義らと話し、スポーツを提供しようということになった。Bリーグは地域に密着しているし、我々がスポーツを売り出すタイミングと同じ、今年スタートということにも注目した。(日本バスケットボール協会会長の)川淵三郎さんが関わっていることも大きかった。Bリーグは絶対に成功すると考えた」

 「バスケットは競技人口が全国に60万人いて、ほとんどが高校生以下。プロリーグはまだあまり注目されていないが、潜在的な需要は高い。TKbjリーグもNBL(ナショナルリーグ)の試合も見にいったが、女性のファンが半分くらい。女性のファンを獲得するにもいい。スリリングで展開が速いというバスケットの特長をスマホで伝えられたらいい」

 ――なぜスポーツに力を入れるのか。

 「スポーツは結果を知った後に見ても(面白さが伝わらない)、というところがある。スマホならライブで四六時中見られる。いろんな仕掛けができる。今もスポナビライブのプロ野球中継では福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐がホームランを打ったら、画面上のその文字をクリックすると動画が見られる機能もある」

 「これだけのコンテンツを500円で提供する放送はないと思う。有料放送なら3000~4000円くらいかかる。スポーツ業界の中で画期的。テレビで見るより楽しいと思ってもらえるような仕掛けをつくりたい」

――スポーツのネット中継をどのように利益に結びつけるのか。

 「スポナビライブがペイするには、ユーザーの数をきちんと獲得できるような魅力ある番組に仕上げることが大事。1年で100万人くらいは早めに集めたい。将来的に1000万人くらいみる番組、商品づくりをしたい」

 ――スポーツ中継は携帯の加入者を獲得するうえでも効果は大きいのでは。

 「スポーツとスマホの親和性は非常に高い。これまではキャッシュバックなどで携帯会社を選ぶ時代。これからはコンテンツで選ぶ時代になる。スポーツのソフトバンクとしてブランディングしていきたい。スポーツを見るならソフトバンクと思ってもらえることでユーザー増やすことにつなげたい」

 ――スポナビライブの現在の加入状況は。

 「スポナビライブには順調に加入してもらっていて、人数は現在、数十万人。まだCMを打っていないから、認知度が高くない。これからCMを打つ段階になるとさらに加入者は増える。(視聴されている番組は)今は野球がメーンだが、Bリーグがスタートすると、自分の地域の選手を見たいという人も入ってくれると思う」

「どう番組作り上げるか楽しい悩み」

 ――今後も放送するコンテンツは増やすのか。

 「男性が好きなスポーツや、女性が好きなものの両方を増やすことが重要と思っている。プロスポーツだけでなくてもいい。学生スポーツなど増やせるものは増やしたい。番組数はかなり増える。テレビで見られるスポーツと、ウェブだから見られるスポーツというのがもしかしたらあるのかもしれない。アマチュアのスポーツも情報提供できればおもしろい。五輪を見て初めて『こういうスポーツがあったんだ』って思われるような、あまり目に触れられていないスポーツも面白い。どう番組を作り上げるかが楽しい悩みでもある」

 ――視聴者のデータを活用して、「ヤフー!ショッピング」などと連携することも考えるのか。

 「スポーツを好きな顧客がいるなら、認証を取ったうえでその志向にあった部分を(こちらから)情報として提供していければいい。そうしたことが喜ばれるとわかったら、サービスとして増やせればいい」

 ――9月22日開幕のBリーグをどのように盛り上げる。

 「選手インタビューなど、選手を紹介する動画をつくってスポナビライブで流すなどしながら、開幕前から手伝いたい。テレビCM(への選手の起用)も検討する。全国には約2800店の(携帯販売店)ソフトバンクショップがある。各店で今日はBリーグのこの試合があるとか、このチームを応援しようなどのPRもできる。Bリーグが盛り上がるのは我々のスポナビライブが盛り上がるのと同じくらい重要」

 「(ポータルサイト運営の関連会社)ヤフーのコンテンツ力も生かしたい。ヤフーのメンバーも一緒になって、どういうサービスができるかという会議をほとんど毎日やっている。『情報革命で人々に感動を伝える』というのがソフトバンクの社是にある。感動とは何かと考えたときに、スポーツの力は大きい。日本のスポーツがみんなに見やすくなってスポーツが身近になるようにお手伝いしたい」

北京欧迅体育文化の朱董事長

北京欧迅体育文化の朱董事長

朱暁東・北京欧迅体育文化董事長

 世界的にネットの放映権料が最も高騰している国の一つが中国だ。スポーツマーケティング会社の北京欧迅体育文化(オーシャンズ)の朱暁東董事長に、その理由を尋ねた。

 ――サッカーの中国プロリーグ、スーパーリーグの放映権料が高騰している。

 「昨年、リーグが行った入札には8社が参加した。落札した体奥動力(スポーツ放映権などを扱う企業)が結んだ契約は2016~20年の5年間で総額80億元(約1300億円)となる。1年ごとの変額制で、初年度は10億元だが、最終年は25億元に増える。昨年までは7000万元だった」

「デジタルメディアの比重、一段と大きく」

 ――なぜこれだけ高騰したのか。

 「ネット向けの放映権の価格が上がっていることが大きい。一昨年まで、中国のスポーツ界ではデジタルメディアと(テレビなどの)伝統メディアの放映権の比率は6対4か、5対5だった。今年は9対1か、8対2になるだろう」

 ――中国ではそれだけスマホなどインターネットでスポーツを見る人が増えているのか。

 「まだ伝統メディアでスポーツを見る人の方が多い。ただ、中国政府や習近平(国家主席)がサッカーを好きで、スポーツビジネスを育成しようとしていることも背景にある」

 「中国ならではの理論もある。米国のスポーツビジネスの市場規模は5000億ドルといわれる。そのうちコンテンツの(放映権料などの)占める割合は10%。残りの90%は物品や用具、フィットネスの施設使用料、ベッティング(賭博)、ファンタジー・スポーツ(利用者が架空のチームを編成してネット上で楽しむゲーム)などだ。理論的には、スポーツ中継を見るために1ドルを費やす人は、9ドルをスポーツの他分野に消費する可能性がある」

 「スポーツの世界では、テレビ局などコンテンツをつくる側は今まで、スポーツファンのデータを集めることが難しかった。ネット放送ならば、ボタンを押したらどういう人かわかる。その人たちを囲い込んで、様々な商品を売ることができる」

 「中国にはスマホの利用者が6億人いるといわれている。携帯電話を使った決済も普及していて、映画館に行くときも、空席のある近くの映画館をスマホで探し、チケットもそのままスマホで買う。データを使って何かを払うことに拒否感がない」

 「スポーツのコンテンツに投資する企業は、スポーツを携帯ユーザーの入り口にして、いろいろなものを衝動買いさせようとしている。中国の場合、スポーツ中継に1ドルを費やす人はスポーツのその他の分野に米国よりもさらに多い、20ドルを支払う可能性もあると考えられている」

「新しいメディア参入、スポーツ界に朗報」

 ――本当に投資額に見合うリターンはあるのか。

 「バブルの側面もある。スーパーリーグの放映権料はそんなに早くペイはできないと思う。プロダクション(映像制作)も向上していない。サッカー中継でカメラの映像を切り替えるとき、(ピッチの上で)ゴールが決まっているのに、(画面では)少し前の場面をリプレーしていることもある。ただ、新しいメディアが入ってくるのはスポーツ界にとって、非常にいいことだ」

(聞き手は谷口誠)

人気記事をまとめてチェック

「スポーツ」の週刊メールマガジン無料配信中
「スポーツ」のツイッターアカウントを開設しました。

スポーツ探QをMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

スポーツ探Q 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

ソフトバンクの今井専務

 スポーツのインターネット向け放映権が世界的に高騰している。日本にもその波は押し寄せる。バスケットボール男子の新リーグ「Bリーグ」が通信大手ソフトバンクと結んだ、ネット放映権込みのスポンサー契約は推定 …続き (2016/6/7)

NZラグビー協会のチューCEO

 ワールドカップ(W杯)で過去2度優勝し、2011年の前回大会を開催したニュージーランド(NZ)のラグビー協会最高経営責任者(CEO)、スティーブ・チュー氏に19年日本大会への期待などについて聞いた。
…続き (2014/12/10)

「JOCの選手強化は実績が上がっている」と竹田会長は話す

 日本の選手強化の仕組みが大きく変わろうとしている。来年4月発足を目指すスポーツ庁のあり方を議論する超党派スポーツ議員連盟のプロジェクトチーム(PT)が、同庁発足後はトップアスリートの強化を国主導で行 …続き (2014/6/6)

ハイライト・スポーツ

[PR]