ニュースの深層

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

地震ルポ 誰も報道しなかった「俵山トンネル崩落現場」

(1/3ページ)
2016/4/28 6:30
共有
保存
印刷
その他

日経コンストラクション

 マグニチュード(M)7.3を記録した熊本地震の本震から1週間がたった2016年4月23日、筆者は日経コンストラクションの取材班第2陣として、熊本県西原村にいた。構造物被害の全貌が次第に明らかになるなか、一つだけ一般の報道では確認できない被害情報があった。西原村にある俵山トンネルの「崩落」だ。

熊本県西原村にある県道28号の俵山トンネル。写真は熊本市方面側の坑口(写真:日経コンストラクション)
画像の拡大

熊本県西原村にある県道28号の俵山トンネル。写真は熊本市方面側の坑口(写真:日経コンストラクション)

 本震後、阿蘇大橋の崩落と同じく、俵山トンネルの被害も何度か耳にしたが、現場の状況を映像や写真で見る機会はなかった。崩落と一口に言っても、被害状況は様々だ。覆工コンクリートの表面がはく落したのか、トンネルが圧壊したのか、現地入り当初は詳細が全く分からなかった。

 自分の目で被害状況を確かめるために、4月23日は早朝から俵山トンネルのある県道28号へ向かった。トンネルのかなり手前で車は通行止めになっていることは、事前の情報で明らかになっていた。

国土交通省のデータに日経コンストラクションが加筆
画像の拡大

国土交通省のデータに日経コンストラクションが加筆

 県道28号の車両通行止め付近に到着してからスマートフォンで調べると、俵山トンネルまでは6km以上ある。「往復12kmか…」。県道28号は阿蘇の外輪山を越えて南阿蘇村へ抜けるルートのため、登り勾配だ。かなり骨の折れる“登山”になるが、ここまで来たら行くしかない。覚悟を決めて、午前7時20分に俵山トンネルを目指して出発した。

県道28号の通行止めの場所。4月23日撮影(写真:日経コンストラクション)
画像の拡大

県道28号の通行止めの場所。4月23日撮影(写真:日経コンストラクション)

■引き返してくる報道関係者

 歩き始めてすぐに、前方からこちらに戻って来る3人組の姿を確認した。報道関係者と見られる彼らに道の先の様子を聞いたところ、「橋と道路の間が大きく開いている場所がある。危険だから引き返してきた」と答えた。

 俵山トンネルの被害状況も聞いてみたが、「我々も気になっているが、分からない」という言葉を残して去っていった。

 県道28号は、構造物の被害が集中する道路として、既に専門家が指摘していた。その理由の一つが、付近を走る布田川断層帯だ。産業技術総合研究所の活断層データベースによると、県道28号に沿うように布田川断層帯が走っている。土木学会の緊急調査でも、県道28号沿いの橋梁被害が数多く報告されていた。

 出会った報道関係者の指摘を受け、「俵山トンネルまで本当にたどり着けるのか?」と、出ばなから不安が募る道行きとなった。

産業技術総合研究所の活断層データベースに日経コンストラクションが加筆
画像の拡大

産業技術総合研究所の活断層データベースに日経コンストラクションが加筆

 彼らと別れてからしばらく歩くと、「道路と橋の間に大きな隙間が生じている場所」にたどり着いた。大切畑大橋だった。

大切畑大橋のジョイント部(写真:日経コンストラクション)
画像の拡大

大切畑大橋のジョイント部(写真:日経コンストラクション)

 ジョイント部に段差が生じ、桁が大きく揺すられていた。桁の荷重を橋台に円滑に伝えるゴム支承が破断している。それでも桁が落下しなかったのは、落橋防止装置が働いていたからだった。

落橋防止装置が効いて桁の落下は免れた(写真:日経コンストラクション)
画像の拡大

落橋防止装置が効いて桁の落下は免れた(写真:日経コンストラクション)

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 次へ
共有
保存
印刷
その他

電子版トップテクノロジートップ

関連キーワードで検索

熊本地震トンネル崩落俵山トンネル

日経BPの関連記事

【PR】

ニュースの深層 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

ニトリのロボット倉庫で見えた物流無人化の未来 [映像あり][有料会員限定]

 大量の製品が並ぶ棚の周りを歩き続け、ときには重い荷物を持ち上げる。夏は暑く、冬は寒い。繁忙期には残業も増える。肉体的にきつくてつらいといわれる物流拠点での仕事を、ロボットに置き換えようとする取り組み…続き (7/26)

荷主と軽貨物ドライバーの仲介サービス「PickGo(ピックゴー、旧名称は軽town)」の画面

昭和で止まった物流業界 スマホで崩す商慣習 [有料会員限定]

 トラックドライバーの高齢化が止まらない。政府の調査によるとトラック業界で働く人の約4割が50歳以上。特に大型トラックの高齢化は著しく、平均年齢は2016年時点で47.5歳に達する。中高年層が大量に退…続き (7/19)

アイフィックスイットが実際に公開しているiPhone 6の電池交換手順。企業が公開していない修理手順をアイフィックスイットが独自に作成して公開している

欧米発、「電子機器を自分で修理する権利」運動 [有料会員限定]

 「消費者が購入した電子機器。その所有権は消費者にあるはずだ。しかし、故障を修理しようとすると、なぜかそれがメーカーの所有物であるかのような扱いを受ける」――。こう語るのは、米国で様々な機器を分解し、…続き (7/14)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

TechIn ピックアップ

08月19日(土)

  • iPad Pro 10.5インチはPCの代替となるか―仕事環境に必要な3つのこと
  • VR向けバックパック型ゲーミングPCも登場―日本HP、「OMEN by HP」を刷新
  • Appleの「ARメガネ」がなんと新型iPhoneイベントで同時発表?

日経産業新聞 ピックアップ2017年8月18日付

2017年8月18日付

・リオ・ティント、リチウム生産へ前進
・集中力測る眼鏡型端末、ジンズがeスポーツで需要開拓
・東芝ライフ、美的傘下に入り1年 2017年通期黒字化に自信
・物流倉庫利用しやすく、VBが新サービス 小規模・短期間でも仲介
・内装材、美をリアルに アイカ工業…続き

[PR]

関連媒体サイト