介護業界、体力勝負に ソニーが4月開業のホーム公開

2016/3/11 0:35
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 介護業界に体力勝負の様相が広がっている。ソニーは10日、4月に開設する有料老人ホームの内覧会を開いた。7日には損保ジャパン日本興亜ホールディングスがメッセージを子会社とし、ニチイ学館に次ぐ業界2位に躍り出たばかり。年間売上高300億円で上位10社に入るという介護業界はまだ勢力図が固まっていない。大企業の本格参入は新たな再編の呼び水になる可能性がある。

 「顧客視点というソニーのDNAを踏襲し、あるべき介護の品質をつくりたい」。ソニーグループで介護事業を統括するソニー・ライフケア(東京・渋谷)の出井学社長は有料老人ホーム「ソナーレ祖師ケ谷大蔵」(東京・世田谷)の内覧会で意気込みをこう語った。

 ソニーの介護参入は2013年。きっかけはソニー生命保険の顧客から介護施設の紹介依頼を受けたことだ。金融事業の顧客基盤は入居者募集に生きるとみて、既存の老人ホームを買収した。

 企画・開発から運営まで自前で手掛けるソナーレには暮らしやすさへの配慮が随所にある。居室の洗面台は車いすのまま使えるように電動の昇降機能を装備。「ライフマネージャー」と呼ぶスタッフも配置し、入居者の生い立ちや趣味、価値観を聞き取り、ケアプランなどに反映する。

 保険業界には保険金の代わりに介護サービスを提供する「現物給付型保険」を視野に介護事業との相乗効果を探る動きもある。今後の展開について「量を決めるのは質」という出井社長は当面、入居者に支持される施設づくりに注力する考え。一方では「次はさいたま市。17年度までには」との青写真も描く。

 介護保険適用サービスの市場規模は14年度で約10兆円。高齢者人口の増加に伴い、25年度には約21兆円まで膨らむ見通しだ。小規模事業者が乱立する介護サービスは大企業に参入余地の大きい成長市場と映る。知名度と資本力を生かし、参入する大企業が相次ぐ。

 居酒屋チェーン、ワタミの介護事業も買収した損保ジャパン日本興亜ホールディングスの介護関連の売上高は年間1100億円規模となる。今後は見守りセンサーなどのICT(情報通信技術)関連に積極投資し、サービスの生産性向上を目指す方針だ。

 大企業が介護事業の本格展開に乗り出すなか、既存事業者は対抗策に乏しい。慢性的な人手不足が背景にあり、サービスの質の向上が思うように進まないためだ。最大手のニチイ学館でも国内の介護サービス利用者数は16カ月連続の前年割れ。16年3月期の介護関連の売上高は1444億円と前期比微減を見込む。

 一部で発覚した入居者虐待などで消費者が介護業界に向ける目は厳しくなっている。一方、首都圏などでは施設が供給過剰という地域がすでにある。施設展開や集客、人材確保で強みとなる体力とブランドを併せ持つ大企業の攻勢が強まれば、業界再編を促す圧力になる。

(新井惇太郎)

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