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ドイツ銀、試される再生 中国資本などが多額投資

2017/5/19 0:52
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 【ベルリン=石川潤】ドイツ銀行は18日、ドイツのフランクフルトで株主総会を開いた。議案の中でとりわけ注目を集めたのが、経営を監督する監査役会のメンバーに推された1人の男性の名前だ。オーストリアの投資会社「Cクアドラート」のアレクサンダー・シューツ氏。ドイツ銀の筆頭株主となった中国の複合企業、海航集団(HNA)の代理人だ。

 ドイツ銀は昨年末、過去の不正を解決するために72億ドル(約8000億円)を支払うことで米司法省と和解。今年に入って80億ユーロ(約1兆円)の資本増強に踏み切った。過去の問題と決別し、ようやく再生の道を歩み始めたばかりだ。

 先行きへの不安を払拭しきれないなか、欧州最大の投資銀行に誰が多額の資金を投じているのか。株式保有比率などをみると、欧州域外からの投資が目立つ。代表格が中国のHNAだ。今年2月に3%の株式保有が明らかになると、その後も投資の手を緩めず、足元では9.9%まで保有比率を高めている。

 米ホテルチェーン大手のヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、100億ドルの航空機リース事業、マンハッタンの一等地パークアベニューの高層ビル、そしてドイツ銀行――。中国山西省生まれのチェン・フェン氏が率いるHNAの投資意欲は旺盛だ。

 チェン氏は一代で中国大手の海南航空を築き上げた立志伝中の人物で、アジア金融危機ではジョージ・ソロス氏を口説き、多額の出資を引き出した伝説で知られる。ドイツで航空経営を学んだというチェン氏には、スキャンダルで株価が下がりきった名門ドイツ銀が割安と映ったようだ。

 HNAだけではない。ドイツ銀の大株主には米運用大手のブラックロックや中東カタールの資本など、再生の可能性に賭けた投資家が並ぶ。大枚をはたいた投資家を納得させられる成長戦略を描くことが、ジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)に求められている。

 「増資で資本の問題は解決したが、問題は収益力を高められるかどうか」(米大手投資銀行)。ドイツ銀の2017年1~3月期決算は前年同期の2倍を超える最終利益となった。ただ収益の向上は「経費削減の努力」(クライアン氏)に頼っているのが現状。大物バンカーの退任が報じられるなど、先行きの収益には不安を残す。

 ドイツ銀の窓口や関係者の執務室では「ヌル・ボーゼ(ゼロの悪魔)」という数字のゼロと鬼を組み合わせたような人形をよく見かける。ポストバンクの売却を取りやめ、巨大なリテール部門を抱えるドイツ銀にとって、ゼロどころかマイナスとなった金利の正常化が収益力強化の条件だ。

 だが欧州中央銀行(ECB)が金融政策を正常化するまでHNAなどの投資家が気長に待ってくれるのか。ドイツ銀の経営陣は強いプレッシャーのもと、成長のための2の矢、3の矢を探し続ける必要に迫られている。

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