象徴二重化を回避 退位後は「上皇」提言

2017/4/22 1:23
共有
保存
印刷
その他

 天皇陛下の退位に関する政府の有識者会議が21日の最終報告で示した退位の制度設計では、退位後の天皇は公的行為をすべて新天皇に譲るよう求めた。皇室の歴史と伝統を踏まえつつ、現行憲法の象徴天皇制のもと、退位した天皇と新天皇による「象徴の二重化」の回避に力点を置いたためだ。皇位継承順位1位になる秋篠宮さまの待遇を皇太子並みに引き上げることにも腐心した。

 最終報告は退位した天皇を「現行憲法の下において象徴天皇であった方を表す新たな称号として『上皇』と称することが適当だ」と結論づけた。かつての太上天皇や「前天皇」「先の天皇」などの意見もあったが「別々の『天皇』が並び立つかのような印象を与え、避けることが望ましい」と指摘。上皇に太上天皇の略称の意味合いはなく「新たな位置づけをして用いる」(政府関係者)。

 過去に退位した天皇が現役の天皇と政治的に対立した例もあった。会議では「(陛下が)退位後に歴史上の上皇のように『院政を敷く』といった意向は全くないことは皆分かっている」との意見が上がった。それでも最終報告が退位した天皇にすべての公的活動からひくことを促すなど、権威を与えないよう徹底したのは、象徴の二重化の矛盾を避ける意味がある。

 一方で退位した後も格を保つため、葬儀や陵墓は天皇と同様、それぞれ「大喪の礼」「陵」とした。生活費もこれまで通り天皇、皇后陛下や皇太子ご一家に支払われる「内廷費」から支出。退位後の陛下と皇后さまを補佐する機関として「上皇職」の新設を提起した。

 最終報告は秋篠宮さまの待遇改善にも軸足を置き、「お立場の重要性やご活動の拡大などに鑑みれば、事務組織や費用を立場にふさわしいものとすることが必要だ」と明記した。皇位継承順位1位であることを意味する「皇嗣」を称号の中に取り入れる案も提示した。

 有識者会議が招いた専門家からは皇嗣の地位を明確にするため「『皇太子』や『皇太弟』の呼称を用いるべきだ」との意見も上がったが、最終報告は「秋篠宮家が30年近く国民に広く親しまれてきたことを踏まえれば、秋篠宮家の当主の立場を維持することが適当だ」と訴えた。秋篠宮さまを皇太子や皇太弟と呼ぶには皇室典範の改正や解釈変更が必要で保守層が反発する可能性もあった。

 会議は当初、陛下の退位をどのように認めるかを議論。1月の論点整理では一代限りの容認に重きを置いた。国会が3月に一代限りで退位を認める特例法制定を政府に求める提言をまとめたため、最終報告では退位の制度設計に重点を置いた。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

天皇陛下皇后さま皇后陛下退位後上皇

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 16日 7:01
16日 7:00
東北 16日 7:01
16日 7:00
関東 16日 7:01
16日 7:01
東京 16日 7:01
16日 7:00
信越 16日 7:00
16日 7:00
東海 1:31
16日 21:30
北陸 16日 13:50
16日 6:02
関西 2:00
2:00
中国 16日 12:00
16日 7:01
四国 16日 7:01
16日 7:00
九州
沖縄
16日 22:00
16日 21:41

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報