残業時間の上限規制「東京五輪まで猶予を」 運輸・建設業界

2017/3/18 1:24
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 安倍晋三首相が17日、残業時間の上限規制で運輸業と建設業への適用を猶予すると表明し、焦点は両業界でいつから実施するかに移る。業界は2020年の東京五輪に向けて深刻な人手不足が予想されるため、五輪が終わるまで適用しないよう要請している。政府は適用除外を運輸と建設に限る方針だが、経済界からはもっと広げるよう求める声も上がる。

 現在の労働時間規制では、所定の労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて残業させる場合は労働基準法36条に基づく協定(サブロク協定)を労使で結ぶ必要がある。協定を結んでも、残業時間は厚生労働相の告示で月45時間、年360時間までとなっている。

 ただ、運輸や建設、研究開発は業務の特性上、一定の長時間労働が避けられないとして、この告示による残業時間の上限が適用されていない。

 19年度にも始まる残業時間の上限規制は、適用除外の業種を原則設けない。ただ、いきなり上限規制の対象に加えると混乱が生じかねないため、猶予期間を設ける。

 建設業界では日本建設業連合会(東京・中央)が3日に国土交通省に時間外労働の上限規制の建設業への適用に猶予期間を設け、20年の東京五輪以降に段階的に導入するよう要請した。労働時間の単純な短縮は五輪関連や災害復旧工事の工期に影響しかねないためだ。

 政府は月末にまとめる働き方改革実行計画で、運輸や建設の適用猶予期間を具体的に明記したい考えだ。この2業種以外にも適用を猶予する業種を設けようとすると「収拾がつかなくなる」(厚労省幹部)おそれがあり、適用猶予は原則として運輸と建設に限る。

 政府内には上限規制の見直し規定が法施行から5年後のため、猶予期間も5年間とする案がある。政府は研究開発については健康を保つための措置などを義務づけたうえで規制の例外とする方針。企業競争力を確保する観点からの措置だ。

 ただ、運輸や建設にとどまらず、小売りなどのサービス産業にも人手不足による長時間労働が広がる。小売業界では店舗運営の中心を担うパート・アルバイトの人手不足が続く。食品スーパー大手幹部は「パートの人手不足を正社員で補っているため、残業時間を減らせていない」という。

 こうした現状を背景に、経済界からは適用除外に関して注文が出ている。日本商工会議所の三村明夫会頭は実現会議後の記者団の取材に対し「経団連と連合でカバーできない業種があるので、実態をはっきりさせた上で現場の実態を踏まえた適用をお願いしたい」としており、今後調整は難航する可能性もある。

 政府内には適用の猶予期間が終わった後、なお余裕のある規制水準とすべきだとの意見もあり、月末に向け詰めの調整をする。長時間労働が常態化している勤務医の扱いも今後の焦点となる。

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