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生産性向上 中小が挑む 省力化へ投資・社内カフェ…
近畿最低賃金 今年も上げ幅最高

2017/8/10 2:30
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 関西の中堅中小企業などが生産性向上への取り組みを強化している。人手不足に最低賃金の引き上げが加わり、各企業は省力化投資を進め、従業員のスキル向上を促す賃金制度を活用する。最低賃金に近い時給で働くパートら非正規社員の待遇改善は地域経済の底上げにつながる期待も大きい。人件費の増加を補う経営改革の成否が問われ始めている。

梅南鋼材はIoT技術の導入で金属加工の時間短縮に取り組んでいる(大阪市)
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梅南鋼材はIoT技術の導入で金属加工の時間短縮に取り組んでいる(大阪市)

 従業員数16人の金属加工業、エムテック(大阪府八尾市)の森本幸一社長は「忙しくて、総じて人手不足といえるが、社員を増やすと管理が大変になる」と本音を打ち明ける。大幅な人員増員はしない方針。その代わりに今秋に導入するのがプレスと曲げなどを同時にできるフォーミング加工機だ。400万円ほどかけて、生産性を高める。

 従業員数45人の金属加工業、梅南鋼材(大阪市)は今年、平面の金属を立体的に曲げる工程で、あらゆるものがネットにつながる「IoT」を活用した工作機械を導入した。これまでは作業員が金型の種類や金属の厚みなど詳細な情報を工作機械にその都度、手入力していた。CAD(コンピューターによる設計)データを通信機能のある工作機械に送信する。

 経験が少ない若手社員でも機械を正確に扱えるようになり、作業時間は以前より2割程度短縮できた。堂上勝己社長は「人件費の上昇は仕方がない。IoTなどの新しい技術を積極的に導入して生産性を継続的に高めていきたい」と話す。

太平工材が社内に設けたカフェは社員に好評だ(兵庫県姫路市)
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太平工材が社内に設けたカフェは社員に好評だ(兵庫県姫路市)

 ただ、機械化への投資は中小企業にとって負担が大きい。農業用機械の製造・販売、ジョーニシ(滋賀県甲賀市)の中野裕介常務は「作業の機械化には資金もかかる。人材教育に力を入れ、既存の人材で生産効率を高めるしかない」と漏らす。

 独自の賃金制度の導入で、従業員の意欲を高めようという試みもある。ステンレス加工・流通の太平工材(兵庫県姫路市)は、簿記検定などの資格取得者に月額数千円の資格手当を上乗せしている。環境整備にも力を入れ、18億円を投じて今春新設した本社に食事や打ち合わせの場所となるガラス張りのカフェを設けた。キッズルームや図書室も備え、工場には空調を効かせた。同社の従業員は70人。平位稔之社長は「ここで頑張ろうと思ってもらえる環境を目指した」と話す。

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 賃金上昇や人手不足を背景に小売業では機械化が進む。業務用食品卸のトーホーは全従業員数4557人のうちパート社員や契約社員が約半数を占める。傘下の食品スーパーを運営するトーホーストア(神戸市)などで人件費の増加に対応し、店舗で食洗機の導入を拡大するなど機械化を進める。レジ部門であっても売り場の品出しをできるようにするなど、従業員1人当たりの業務範囲を広げて効率を上げている。

 同志社大学の関智宏准教授(中小企業論)は「これを機に労務環境の改善や生産性の向上に前向きに取り組んで、人件費の上昇や人手不足を乗り越えていく必要がある」と指摘する。

■人手不足、業績の負担に

 近畿2府4県の地方最低賃金審議会による最低賃金の引き上げ額の答申が9日に出そろった。政府が2017年度の引き上げ額の目安を全国加重平均で25円と昨年度と並んで過去最大としたため、2府4県とも現行方式で過去最高の引き上げ額で、2年連続で3%前後の引き上げ率となった。労使から異論が出なければ、9月末以降に改定される見通しだ。

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 大阪労働局の推計によると、今回の最低賃金の改定で賃金の引き上げが必要になる労働者数は大阪府内だけで約29万2千人に上り、昨年の約25万3千人を15%上回る。大阪地方最低賃金審議会の服部良子会長(大阪市立大准教授)は「女性や20歳以下の若年層の時給水準は最低賃金に近く、生活改善のため引き上げる必要がある」とした。

 消費への刺激を期待する声もある一方で、人手不足による採用コスト増と、ここ数年の最低賃金の上昇は企業業績にも影響を及ぼしている。関西で約150店舗を展開するスーパーのライフコーポレーションは人件費の上昇が主因となり、18年2月期の単独営業利益を前期比約4%減の127億円と見込む。

 府県別の格差も目立つ。今回の答申で大阪府の最低賃金が900円を突破した一方、引き上げ後も700円台後半にとどまる奈良県ではパートやアルバイトの募集が難しくなっているケースもある。奈良、生駒、橿原の県内3市で3店舗を運営する近鉄百貨店では「学生は(時給の高い)大阪や京都に流れて集まりにくい傾向があり、特に売り手市場のコスメ関連は人材募集に苦労している」(担当者)という。

 近畿2府4県の有効求人倍率(季節調整値)は最新の6月時点で1.46倍。1990年代初頭のバブル期の最高水準を超えており、人手不足が続いている。

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