催し・上映作品…個性「公開」 ミニシアターなどファン集客に知恵

2016/2/28 6:00
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 関西のミニシアターや、映画を上映する多目的施設が集客に工夫を凝らしている。大作や話題作中心のシネコンでは見られない作品をそろえたり、観客参加型のイベントを開いたりして熱心なファンを呼び込む。大型シネコンとはひと味違った楽しみ方を提供する。

「キングスマン」の登場人物にふんした服装で鑑賞に訪れたファン(兵庫県尼崎市の塚口サンサン劇場)
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「キングスマン」の登場人物にふんした服装で鑑賞に訪れたファン(兵庫県尼崎市の塚口サンサン劇場)

 11日、塚口サンサン劇場(兵庫県尼崎市)にスパイにふんした男女が集結した。英国のスパイ映画「キングスマン」にちなんだイベントだ。観客はスーツに黒縁眼鏡、劇中で武器になる黒傘を抱えた人も。上映中は紙吹雪が舞い、クラッカーの音が鳴り響く。観客の笑い声が絶えず、パーティー会場のようだ。終了後はロビーで感想を熱く語り合った。

 2013年からイベント上映会を開く。ドレスコードを設定したり、敵味方に別れて応援合戦をしたりと作品の世界に入り込みやすくする。年4、5回開催し、毎回チケットは完売。「映画館でしか味わえない共有体験をしてほしい」と営業担当の戸村文彦は話す。

 京都みなみ会館(京都市南区)は13年からオールナイト上映会を開く。20日は5時間17分の長編日本映画「ハッピーアワー」を上映した。濱口竜介監督らも駆けつけ、約150席がいっぱいになった。通常は新作に合わせ、同じ監督や俳優の作品などを同時上映する。「眠気と戦い、記憶が混乱しながら映画館に行った感触を体で味わってほしい」と吉田由利香館長。

 8ミリや16ミリの無声映画に力を入れるのはプラネットプラスワン(大阪市北区)だ。音楽家の鳥飼りょうの伴奏や、弁士の大森くみこによる活弁がつく日もある。映画創生期は10分程度の短編が多く、数本をまとめて約1時間のプログラムを組む。富岡邦彦代表は「映像で物語を語る映画史の試行錯誤の根本がある。若い人にこそ見てほしい」と力を込める。

伴奏つきで無声映画を上映する(大阪市北区のプラネットプラスワン)
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伴奏つきで無声映画を上映する(大阪市北区のプラネットプラスワン)

 奈良市は全国で山口市と並んで映画館がない県庁所在地だ。その奈良市に昨年8月、多目的施設「ならまちシアター青丹(あおに)座」が誕生した。収容15人と小さいが、完全貸し切り制で、周りを気にせず家族や友人らと映画を楽しめる。利用者はDVDを持ち込むなどして鑑賞するので、本来の映画館ではない。しかし音響や映像は本格的で120インチの高精細4Kプロジェクター、12個のスピーカーなどを備える。

 画面や四方からきこえる効果音は迫力十分。平田幸一プロデューサーは「利用者は音楽ライブや映画の予告編だけの上映といった様々な楽しみ方をしている」と語る。不定期イベント「シネマバトル」は熱心なファンがテーマごとにおすすめ作品を紹介し、意外な鑑賞法を提示する。

 封切りに合わせて監督や俳優を招く例は多いが、神戸アートビレッジセンター(神戸市兵庫区)はひとひねりしたトークイベントを開く。カメラマンら裏方に話を聞き、作品の背景に迫る。来月はロケ地でケータリングを提供する「現場メシ」の業者を招く予定だ。

 昨年、関西では109シネマズ大阪エキスポシティ(大阪府吹田市)などの大型シネコンが3D映像に加え、衝撃や水しぶきなどの体感システムを加えた「4DX」を相次いで導入した。ミニシアターなどは規模や話題性ではかなわないが、ファン心理を押さえたサービスで映画の多彩な楽しみを提供する。=敬称略

(大阪・文化担当 安芸悟)

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