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マルチな働き「魚飼い」 海を耕す(4)
軌跡

2017/3/17 6:00
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 放牧した羊の世話をするのが「羊飼い」。近畿大学の水産研究所や水産養殖種苗センターで養殖魚を育て、研究する人々は自らを「魚飼い」と称する。魚飼いたちは1965年のヒラメから99年のマサバまで18種類の魚について、世界で初めて人工ふ化から種苗生産まで成功した。

エサの種類や資機材価格、魚の育て方など幅広く把握する菅家副参事(マグロ養殖いけす)
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エサの種類や資機材価格、魚の育て方など幅広く把握する菅家副参事(マグロ養殖いけす)

 天然マダイは鮮やかな赤色が売り物だが養殖魚は日焼けで黒くなる。養殖でも赤さを失わないチダイと掛け合わせ、73年につくり出したマチダイは成長が早く天然魚のような赤色を帯びる。養殖フグ同士がかみ合って傷が付かないようニッパーで歯を切り取る。これらも魚飼いの業績だ。

 種苗センター事務室副参事の菅家俊一は北海道旭川市出身。川で釣ったコイやフナを家で育てる魚好きが高じて近大農学部水産学科に学んだ。卒業後は水産研での技術職に就いたが、9年目で種苗センター事務職への異動を打診された。

 マダイの養殖が軌道に乗り、生産量が急増した時期だった。「事務方だけでは運営が難しくなっており、悩んだ末に受け入れた」と話す。養殖網の材質、エサの種類、資機材の値段から魚の育て方、卒業生の進路に至るまで把握し、事務も処理する魚飼いとなった。

 種苗センター奄美事業場の事業場長補佐、中井彰治は堺市の出身。近大4年の時に水産研で卒業論文を仕上げ、94年からずっと奄美大島にいる。クロマグロやクエ、シマアジなどの面倒を見るのが本来の仕事だが、ポンプなど機械類の修理も一通りこなす。「機械が止まれば稚魚はすぐ死ぬ。修理業者の到着を待つ余裕などない」からだ。地元漁業組合の正規メンバーで、漁船を操っていけすにぴたりと横付けする腕前は玄人はだし。魚飼いはみなマルチ人間なのである。(敬称略)

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