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もっと関西 光学素子 リアル生む 触って たたいて空中映像(ここに技あり)
京都府精華町

2017/4/25 6:00
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 目の前に浮かぶタンポポの映像を指で触れると、左右に揺れながら綿毛が散っていく。特殊なメガネを使わなくても、小型装置の前に立つだけで空中に浮かぶ映像を見て触ることができる。開発したのは光学機器を手掛けるベンチャー企業のパリティ・イノベーションズ(京都府精華町)だ。

空中で指を振ると、立体的に映し出されたタンポポが揺れて綿毛が舞うように見える(パリティ・イノベーションズの研究所)
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空中で指を振ると、立体的に映し出されたタンポポが揺れて綿毛が舞うように見える(パリティ・イノベーションズの研究所)

 小型装置の中にスマートフォン(スマホ)などを置くと、画面に表示されている画像が空中に浮かび上がる。カギを握るのはパリティミラーと呼ぶ独自開発の光学素子だ。素子には微細な鏡が数十万個も並んでおり、映像を反射させて空中の一点に集める。

■カメラが指認識

 それだけではない。「ド、レ、ミ」。空中に浮かぶ鍵盤をたたくと音がなった。装置に内蔵したカメラで指の動きを認識するためで、空中の映像を触って装置の中に置いたスマホのタッチパネルを操作することもできる。

 パリティ・イノベーションズ社長の前川聡さん(52)は国立研究開発法人の情報通信研究機構の研究員時代に3次元(3D)映像に出会い、興味を持った。1年足らずでパリティミラーを開発し、2006年に特許を取得。「3Dテレビはすでにあったが、展示会に出展するとみんな驚いた。ビジネスになる」と考えて10年に同社を設立した。

 ただ光学素子の加工には苦しんだ。最初は材料に銅を使ったが、加工が難しくコストも高い。試行錯誤を重ね、光学部品などに使われる樹脂でようやく成功した。加工精度は1千分の1ミリ程度という。3年前に10センチメートル角の光学素子を製造できるようになった。企業に試作機を提供し、用途の開発を進めている。

■患者頭部を再現

 「コンピューター断層撮影装置(CT)の写真を空中に浮かべれば、仮想的に患者の頭部を再現できる」。前川さんは医療分野などへの応用に手応えを感じている。自動車関連産業の関心も高い。車窓の風景に空中映像を組み合わせて道案内するカーナビの登場も夢物語ではない。

 仮想現実(VR)をはじめ、次世代の映像技術の開発競争は激しい。何もない空中に立体映像が浮かび上がるSF映画のような世界が実現に近づいている。

文 大阪経済部 伊藤大輔

写真 浦田晃之介

〈カメラマンひとこと〉 部屋の照明を落としてみると、闇に浮かび上がるタンポポの映像。操る指をスローシャッターでぶらし、立体感や動きを強調して撮影した。未来のテレビは目の前に映像が飛び出す――。ファインダーをのぞきながら、子供の頃に抱いた空想がよみがえった。

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