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コウノトリ、豊岡の大空舞う 全国で野外生息100羽到達
初放鳥から12年 環境整備に汗「ようやくここまで」

2017/6/21 15:55
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 国の特別天然記念物コウノトリの国内での野外生息数がこのほど、100羽に到達した。繁殖や野生復帰の取り組みを続けてきた関係者の間では「ようやくここまで来た」と喜びの声が広がったが、絶滅の危機が去ったわけではない。人の手を借りずに巣立てる環境づくりが求められている。

「人工巣塔」から飛び立つ雄のコウノトリ(左)。野外のコウノトリはちょうど100羽になった(19日、兵庫県豊岡市)=県立コウノトリの郷公園提供・共同

 兵庫県立コウノトリの郷公園(兵庫県豊岡市)から数キロ離れた「人工巣塔」。19日午前、雄1羽が近くの田んぼへ元気な様子で飛び立った。野外に生息する個体数が100羽となり、山岸哲園長は「全国に飛来し、さらに幸せを届けてくれることを期待します」とコメントした。

 「100羽は自分たちの努力を自負できる数字。やっとここまで来た」。公園の主任飼育員、船越稔さん(53)は感慨深げに話す。保護下のコウノトリを初めて放鳥したのは2005年。前例のない中、他の飼育員や研究者らとともに、野生生活に適した個体を選んで飛ぶ力を高める訓練を重ねた。5羽が巣立って以降、放鳥が順調に進むようになったという。

 カエルやドジョウをエサにするコウノトリにとって、野外で生き延びるには豊かな自然が欠かせない。公園の手探りの取り組みを地域も支えた。

 米や野菜の生産農家、植田博成さん(36)は多様な生物を繁殖させる「コウノトリ育む農法」を04年から始めた。一般的な米作りでは冬から翌春までは田んぼに水を張らないのに対し、同農法ではコウノトリのえさ場となるよう通年で水をひき続けるほか、無農薬のため雑草も手作業で刈り取る。「草との闘いは大変だったが、10年以上かけて環境を整えられた」

 現在、野生のコウノトリの約半数は豊岡市周辺に生息。卵は他の地域にも譲り渡され、残る半数が各地に散らばる。千葉県野田市と福井県越前市は、豊岡などで生まれた卵やつがいを育て、15年から計9羽を放鳥した。

 100羽到達への歓迎ムードは関係者の間に広がるが、船越さんは「一度姿を消したコウノトリが、絶滅の危機から完全に逃れられたわけではない」と強調。「人の手が加わらなくても、自ら野外で子孫を増やせるまで取り組みを続けたい」と決意を新たにしている。

絶滅危惧種の保護実る トキやヤンバルクイナでも成果
 絶滅が危惧されるトキやヤンバルクイナも特別天然記念物に指定される。コウノトリを先進事例に、各地で野生放鳥や保護の取り組みが実を結んでいる。
 江戸時代まで全国で飛んでいたとされるトキ。佐渡トキ保護センター(新潟県)は2008年に初めて10羽を放鳥、これまでに計270羽を放ち、12年に野外で初めてヒナが誕生した。6月時点で推定212羽が空を舞う。環境省佐渡自然保護官事務所の若松徹さん(39)は「多くの人の協力で軌道に乗った。環境づくりなどコウノトリから学ぶことは多い」と話す。
 沖縄本島北部にのみ生息するヤンバルクイナは、環境省によると1981年に発見され、86年には約1800羽いたが、一時は千羽以下に。繁殖技術を確立しようと、13年度から人工ふ化種を試験的に放鳥する。
 一方で天敵のマングースを駆除するなど保護にも力を入れ、今では約1500羽に増加。やんばる野生生物保護センター(沖縄県国頭村)の担当者は「保護との両輪で守りたい」と熱を込める。

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