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米国務長官、トルコ大統領と会談 関係改善は進まず

2017/3/30 20:43 (2017/3/31 0:10更新)
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 【イスタンブール=佐野彰洋】ティラーソン米国務長官は30日、トルコの首都アンカラを訪れ同国のエルドアン大統領らと会談した。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦やトルコが要求する在米宗教指導者の送還問題などについて協議した。懸案の一つ、トルコが敵視するクルド人勢力への米国の支援については意見の相違を埋められず、対米関係改善のはかばかしい成果は得られなかった。

 「テロ組織と戦う一方で別のテロ組織と協力するのは、正しくも、現実的でもない」。会談後の共同記者会見に臨んだトルコのチャブシオール外相は米国がシリアのクルド人勢力、民主連合党(PYD)との協力をやめるよう改めて要求した。

 これに対し、ティラーソン氏は「難しい選択を下さなければならない」「トルコとは協議を続けていく」と述べるにとどめた。同氏は1月のトランプ米政権発足後、トルコを訪れる最高位の米政府高官だが、トルコの要求に応じるのは困難との立場をみせた。

 大統領の権限強化を狙うトルコの国民投票が4月16日に迫る中での会談は、エルドアン氏への肩入れを指摘されかねないが、早期のIS打倒を目指す政権方針を優先させた。

 2014年にシリアとイラクで台頭したISの掃討を巡り、当時のオバマ米政権は貴重な地上戦力としてPYDを重用してきたが、トルコは国内の分離勢力と同一のテロ組織にあたるとして強く反発。米トルコ関係悪化の原因となってきた。

 イラクではISの最大拠点モスルの奪還作戦が最終局面を迎えつつある。IS打倒を優先課題とするトランプ政権はISが「首都」と主張するシリア北部ラッカの奪還に向け、PYDを支援する前政権の方針を踏襲している。

 昨年7月にトルコで起きたクーデター未遂事件でトルコ政府が黒幕とみる在米イスラム教指導者ギュレン師の送還問題もトルコが米国への不満をため込む理由となってきた。トルコ側の送還要求に対し、「司法問題」として米側が応じていないからだ。

 30日の記者会見でチャブシオール氏は「せめて一時的な身柄の拘束を求める」と強調したが、ティラーソン氏は直接言及しなかった。

 両国間の二大懸案について進展の兆しがみられなかったことで、トルコ国内では対米関係の仕切り直しを巡り、トランプ政権への高まる期待が一転、失望に変わる可能性がある。

 両国関係には新たな火種も加わった。米政府は3月21日に発表した携帯電話より大きい電子機器の航空機内持ち込みを禁じる措置の対象国にトルコを含めた。対イラン制裁に違反したとしてトルコの国営銀行幹部が米国で逮捕された。いずれの問題でもトルコ政府は反発を示している。

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