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北朝鮮亡命情報、韓国で相次ぐ 体制への影響不透明

2016/8/26 21:28
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 【ソウル=小倉健太郎】北朝鮮から他国に亡命したという脱北情報が韓国で相次いでいる。韓国政府が駐英公使の韓国入りを発表したのに続き、韓国メディアがロシアで2人の外交官が亡命していたと報じた。韓国政府は北朝鮮の体制動揺につながる可能性を指摘する一方、現時点では影響は判断しにくいとみる専門家も多い。

 KBSニュースは25日、ロシアのウラジオストクの北朝鮮貿易代表部に勤めていた外交官が7月に亡命したと報じた。複数メディアが韓国に亡命したと報じたサンクトペテルブルクの北朝鮮貿易代表部の男性3等書記官より地位が高い幹部だという。17日には韓国統一省がテ・ヨンホ駐英公使が亡命し、韓国に入国したと発表している。

 韓国統一省報道官は26日の記者会見で、ウラジオストクからの亡命については事実確認を避けつつ、一連の亡命報道に関し「(北朝鮮の)恐怖政治や内部の不安定の拡大が一因だ」との見方を示した。朴槿恵(パク・クネ)大統領も22日の会議で「最近は北朝鮮のエリート層まで崩れかかっており、深刻な亀裂の兆しがみえる」と話した。

 専門家は政府見解に比べると慎重な見方が多い。世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は、テ・ヨンホ氏は韓国に亡命した北朝鮮外交官のなかでは最高位級のため「指導部や他の外交官には大きな衝撃を与えただろう」としながらも「金正恩(キム・ジョンウン)政権が揺さぶられているとみるのは極めて性急だ」と指摘する。

 北朝鮮では小規模なデモもできないほど公安機関などによる抑圧体制が効果的に機能しているとみるためだ。

 脱北者の調査を手掛ける非政府組織(NGO)北韓(朝鮮)人権情報センターの金仁星(キム・インソン)局長は「金正恩氏の対抗勢力がいない以上、相次ぐ亡命がエリート層の離反や体制崩壊にはつながりにくい」とみる。北朝鮮要人の亡命情報は韓国でも情報機関である国家情報院だけが把握しているため、実際にどの程度増えているのかも分からないとした。

 韓国政府が体制動揺に言及するのは、北朝鮮に対する強硬姿勢を貫いてきた朴政権の正当性を強調する思惑もありそうだ。4月、中国の北朝鮮食堂で働いていた女性従業員らが韓国に集団亡命したと発表した際、韓国政府は「北朝鮮への経済制裁が効果を発揮した」と説明した。北朝鮮は弾道ミサイル発射実験など露骨な核兵器開発を続けているため韓国内には朴政権の北朝鮮政策に批判も出ている。

 ただ、北朝鮮が亡命に神経をとがらせているのは間違いない。韓国への亡命者が発生すると北朝鮮は「韓国政府による拉致だ」と批判するケースが多いため、北朝鮮が海外における韓国人官民の拉致やサイバーテロなどといった「報復」に出る可能性もあると韓国統一省は分析している。

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