EU、今夏中に共通ブラックリスト 租税回避地問題

2016/4/23 19:27 (2016/4/23 21:56更新)
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 【アムステルダム=森本学】欧州連合(EU)は22日、アムステルダムで財務相理事会の非公式会合を開き、EU共通のタックスヘイブン(租税回避地)の“ブラックリスト”を今夏中に作成することで一致した。「パナマ文書」問題で富裕層らがタックスヘイブンを使って課税逃れをしていた実態が浮かび上がったため、EUが一体で監視する体制を強化する。

 「全会一致での支持を得られた」。22日の会合終了後、EUの執行機関である欧州委員会で税制などを担うモスコビシ欧州委員は記者団に語った。同委員は会合で「課税逃れへの対策に非協力的なタックスヘイブンに関するEU共通のブラックリストを夏の終わりまでに作成」することを提案した。

 EUはすでに2015年から非協力的なタックスヘイブンのリストを公表しているが、加盟国ごとに判断基準などはバラバラだ。欧州委によると、EU全28加盟国のうち、パナマを非協力的な「タックスヘイブン」だと公式に判定しているのは10カ国に満たない。

 新たに作成する共通リストでは、非協力的なタックスヘイブンだと判断する基準をEUで一元化する。課税ルールなどの見直しの要請に応じない国・地域にはEUが一体となって「制裁」を科すことも検討し、課税逃れ対策への取り組み強化を促す。現状では制裁措置は加盟国ごとに決める仕組みとなっている。

 共通リストの作成は欧州委員会が15年6月に加盟国と欧州議会に提案していたが、議論は低調だった。欧州統合への懐疑論が高まる中、EUの権限強化につながるような動きには慎重な加盟国が増えているためだ。

 「パナマ文書がもたらした勢いを生かす」(EU高官)。同文書問題を機に、EU内では課税逃れへの強硬論が優勢となり出した。ただマルタが「過剰反応」をけん制するなど足並みは必ずしもそろっていない。

 この日の会合では、ペーパーカンパニーを使った課税逃れを防ぐための新たな情報共有ルールをEU域内で構築する方向でも一致した。同ルールは英独仏とイタリア、スペインの欧州主要5カ国の財務相が14日にワシントンで提案。会合では他のEU加盟国も加わり、EU一体で進める方針を確認した。

 新ルールはペーパーカンパニーなどの実質的な所有者の情報を交換する仕組み。企業やファンドで、実際に利益を受けている個人や法人を特定するための情報を加盟国どうしで共有し、課税逃れの監視を強化する。ペーパーカンパニーを隠れみのにした課税逃れを防ぐ狙いだ。

 16年前半のEU議長国であるオランダのデイセルブルム財務相は会合後の記者会見で、欧州委員会に新ルールの枠組みを検討するよう指示したと明らかにした。

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