米、関税引き上げ見送り NAFTA再交渉へ

2017/5/20 0:59
共有
保存
印刷
その他

 【ワシントン=河浪武史、ハバナ=丸山修一】トランプ米政権は18日、米議会に北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に乗り出すと正式に通知した。早ければ8月中にも協議を開始する。関税引き上げなどの強硬策は回避する見通し。「原産地規則」の見直しや通貨安誘導の防止条項を新設する案が焦点となる。「米国第一」の通商政策の試金石となり、対日協議にも影響しそうだ。

 「NAFTA再交渉は知的財産権や国有企業、サービス分野、労働規制などの見直しが含まれる」。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は18日、議会宛ての書簡でそう表明した。

 ライトハイザー氏が挙げた項目は、環太平洋経済連携協定(TPP)が下敷きだ。カナダ、メキシコはTPP交渉で知財やサービスなどのルールづくりで合意済みで、USTRはTPPを土台にすればNAFTAも広範な見直しが可能とみる。

 米国はメキシコとのモノの貿易で632億ドル(2016年)の赤字を抱える。トランプ大統領はNAFTA見直しを公約に掲げ「メキシコ製品に35%の国境税を課す」などと主張。交渉が不調なら、協定離脱も辞さない姿勢を示してきた。

 ただ、メキシコに生産拠点を置く米自動車メーカーは関税引き上げに反対し、カナダやメキシコへの輸出が多い農業団体も協定離脱に否定的だった。米政権は関税引き上げなどの強硬策をひとまず収め、現実路線へと転換したもようだ。

 再交渉の焦点となるのが、域内の部品調達率を定めた「原産地規則」の見直しだ。現在、乗用車なら域内の部品調達率が62.5%を超えれば関税がゼロになる。再交渉で調達率を引き上げて域外品の締め出しを狙う。

 メキシコではアジアなどから輸入した部品を使って自動車などを生産している。調達率が引き上げられれば、部品をメキシコ産などに切り替える必要があるが、現地生産できないものもある。日本の自動車メーカーなどは素材や部品の調達網の見直しを迫られる。

 また、メキシコペソやカナダドルが安くなれば対米輸出が有利になるため、通貨安誘導に歯止めをかける為替条項を新設する案もある。米国はTPP交渉でも為替条項を主張したが、相場急変動時の為替介入が制限されかねず、日本などの反対で頓挫した。米自動車業界などはNAFTAに「強力な為替条項」を盛り込むよう求めている。

 「書簡は議会への通知にとどまらず、自由で公正な貿易が米通商交渉の新基準だと貿易相手国に知らしめる意図がある」。ロス商務長官は18日、声明でこう強調した。

 NAFTAの交渉項目を日本などとの2国間協議にも適用する考えを示したとみられ、対日交渉では米国内で自動車部品などをさらに調達するよう求める可能性がある。為替条項について日本側は「到底受け入れられない」(通商担当者)と反発が強いだけに、再交渉の内容は試金石となる。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

北米自由貿易協定USTR再交渉TPP

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

北海道 21日 7:01
21日 7:00
東北 21日 7:01
21日 7:00
関東 21日 7:01
21日 7:01
東京 21日 7:01
21日 7:00
信越 21日 7:01
21日 7:01
東海 2:00
1:31
北陸 21日 6:32
21日 6:30
関西 21日 23:41
21日 6:01
中国 21日 6:02
21日 6:00
四国 21日 6:02
21日 6:00
九州
沖縄
21日 21:30
21日 21:29

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報