Financial Times

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

[FT]低金利、要因は金融市場にあり

2017/3/20 2:00
共有
保存
印刷
その他

Financial Times

 米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースは今後どうなるのか。15日のFRBの利上げ後、そんな議論が盛んになった。だが、今は2010年代に入り、なぜこれほどの低金利が続いているかを考える好機でもある。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが今後どうなるかの議論が盛んになっているという
画像の拡大

米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースが今後どうなるかの議論が盛んになっているという

 低金利の要因は一般的には2つあるとされる。一つはFRBなどの中央銀行が、過去に例を見ないような規模の量的緩和で意図的に政策金利を引き下げたこと。もう一つは、サマーズ元米財務長官らが唱える「長期停滞説」によって金利が押し下げられたことだ。

 サマーズ氏らによると、世界経済は構造的に総需要の大幅減少に見舞われている。市場金利の低さはその結果で、投資家の経済の先行き不安を示しているという。

 ところが、国際決済銀行(BIS)の経済顧問ヒュン・ソン・シン氏は講演で、この長期停滞説が完全な誤りではないかと問うた。この議論には大いに注意を向けるべきだ。なぜなら、もしシン氏の主張が正しければ、FRBの政策が今後、市場にどう影響を与えそうかも暗示しているからだ。

 シン氏は、近代の経済学者が「実体」経済の指標だけを観察し、金融システムが実際にどう機能しているかを考慮しない傾向があると指摘する。BISも以前、この傾向が、多くの政策立案者が08年の金融危機を予測できなかった一因だと論じた。経済学者らはクレジット・デリバティブ(企業の信用リスクを取引する金融派生商品)の急増など、金融市場が発する危険信号を見落としたという。

 08年の危機の後、中銀は政策決定方法をあっさり変更したように見えた。しかし今、シン氏はこの傾向が再び強まっていると懸念する。同氏は「長期債の利回りが経済の先行指標として過大評価されている可能性がある」と考える。

 実例として、シン氏は14年から16年にかけてのユーロ圏の長期債利回りの急低下を挙げる。急低下は当時、将来のユーロ圏のデフレと景気後退を予想する投資家心理の表れだとみられていた。BISは純額ベースで国債購入の4割を占めるまでになったドイツの生命保険各社を分析し、国債の大量購入はデフレを予測したからでも、よりリスクに寛容になったためでもないと結論付けた。

 むしろ、「会計規則とソルベンシー(支払い余力)規制」に縛られて、保険会社は国債の利回りが低下すれば、通常の投資論理に逆らってでも、リスクヘッジのために国債購入を増やさざるを得なくなるという。

 その結果、実体経済に悪影響が広がることになる。これには2つの意味合いがある。まず、欧米などの中銀がこれほど長期間、これほどの低金利を維持したのは誤りだったかもしれないことだ。量的緩和は保険会社などに論理に反する行動をとらせ、市場不安を増幅させた可能性があるからだ。

 また、将来の金利の動きが滑らかで市場を混乱させることはないと考えるのも短絡的だ。シン氏が指摘するように「利回りを押し下げた『増幅メカニズム』は逆方向にも働くことがある」ためだ。

 15日の利上げ後、米10年物国債の利回りは低下した。だが、投資家は「逆増幅メカニズム」の脅威を無視すべきではない。近年、多くの組織がひそかに過剰債務状態に陥っていることを考えれば、なおさらだ。そこには米政府機関も含まれる。

by Gillian Tett

(2017年3月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


人気記事をまとめてチェック

「ビジネスリーダー」の週刊メールマガジン無料配信中
「ビジネスリーダー」のツイッターアカウントを開設しました。
GlobalEnglish日経版

GlobalEnglish 日経版

世界を目指す、全てのビジネスパーソンに。 ビジネス英語をレベルごとに学べるオンライン学習プログラム。日経新聞と英FT紙の最新の記事を教材に活用、時事英語もバランス良く学べます。

詳しくはこちらから

Financial TimesをMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップビジネスリーダートップ

関連キーワードで検索

BISFRB利上げペース低金利長期停滞説

【PR】

Financial Times 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

EU離脱交渉で首席交渉官を務めるバルニエ氏=ロイター

ロイター

[FT]EU、英離脱で英語教師給与も徴収へ [有料会員限定]

 英国が欧州連合(EU)離脱にあたって支払う分担金は1000億ユーロに上ると推計されるが、EUは新たな請求を加える方針だ。EUが運営するエリート校にいる英国人教師の給与で、EU離脱後の2年間にわたる負…続き (5/26)

検閲強化で苦悩するフェイスブック=ロイター

ロイター

[FT]アジア諸国の検閲でソーシャルメディア苦悩 [有料会員限定]

 大手ソーシャルメディア企業が東南アジアで苦境に追い込まれている。タイの新国王やベトナムの共産党政権、インドネシアでの宗教間の緊張の高まりにより、ソーシャルメディアのコンテンツに対する締め付けが加速し…続き (5/26)

トランプ大統領の集会に集まったウェストバージニア州の市民ら。ダイナミズムで最下位だった同州は移民の割合のランキングで最下位だった=ロイター

ロイター

[FT]米国の活力低下、全州に広がる 移民の活用カギ [有料会員限定]

 創業が減少し、転職の頻度が下がったため、1990年代初頭以降、米国のすべての州で経済的ダイナミズムが広範に低下した――。起業家精神の力強さを取り戻す困難な課題を強調する調査研究で、こんな結果が明らか…続き (5/26)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

今週の予定 (日付クリックでスケジュール表示)

<5/22の予定>
  • 【国内】
  • 4月の貿易統計速報(財務省、8:50)
  • 5月のQUICK外為月次調査(11:00)
  • 西川自工会会長の記者会見(11:20)
  • 榊原経団連会長の記者会見(15:30)
  • 4月の主要コンビニエンス売上高(日本フランチャイズチェーン協会、16:00)
  • 【海外】
  • EU総務理事会で英離脱交渉の「交渉指令」採択
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<5/23の予定>
  • 【国内】
  • 閣議
  • 3月と16年度平均の毎月勤労統計確報(厚労省、9:00)
  • 4月の食品スーパー売上高(日本スーパーマーケット協会など、13:00)
  • 三村日商会頭の記者会見(13:30)
  • 4月の全国スーパー売上高(日本チェーンストア協会、14:00)
  • 4月の全国百貨店売上高(日本百貨店協会、15:00)
  • ソニー経営方針説明会
  • 【海外】
  • ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事が講演(8:30)
  • 4月のシンガポール消費者物価指数(CPI)
  • 5月の仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(16:00)
  • 5月の独PMI速報値(16:30)
  • 5月の独Ifo企業景況感指数(17:00)
  • 5月のユーロ圏PMI速報値(17:00)
  • 5月の米製造業PMI速報値(IHSマークイット調べ、22:45)
  • 4月の米新築住宅販売件数(23:00)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<5/24の予定>
  • 【国内】
  • 黒田日銀総裁とバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が講演(都内、09:00)
  • 3月の景気動向指数改定値(内閣府、14:00)
  • 5月の月例経済報告(内閣府)
  • 株主総会=良品計画、イオン
  • 【海外】
  • タイ中銀が政策金利を発表
  • カナダ中銀が政策金利を発表(23:00)
  • 4月の米中古住宅販売件数(23:00)
  • 米エネルギー省の石油在庫統計(週間、23:30)
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2~3日開催分、25日3:00)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<5/25の予定>
  • 【国内】
  • 対外・対内証券売買契約(週間、財務省、8:50)
  • 3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
  • 40年物国債の入札(財務省、10:30)
  • 桜井日銀審議委員が佐賀県金融経済懇談会であいさつ(佐賀市、10:30)
  • 桜井日銀審議委員が記者会見(14:00)
  • 4月の外食売上高(日本フードサービス協会、14:00)
  • 3月期決算=明治安田生命、住友生命、日本生命(三井生命を含む)、富国生命、朝日生命
  • 株主総会=Jフロント、セブン&アイ(いずれも10:00開始)
  • 【海外】
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2~3日開催分、3:00)
  • 石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)
  • 南アフリカ中銀が政策金利を発表
  • 米新規失業保険申請件数(週間、21:30)
  • ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事がパネル討議に参加(23:00)
  • インドネシア市場が休場
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

<5/26の予定>
  • 【国内】
  • 閣議
  • 4月の全国・5月の都区部消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)
  • 4月の企業向けサービス価格指数(日銀、8:50)
  • シャープの中期経営計画説明会(15:10)
  • 11~4月期決算=HIS
  • 【海外】
  • 主要7カ国(G7)首脳会議(イタリア・シチリア島、27日まで)
  • 4月のシンガポール鉱工業生産指数
  • 1~3月期の米実質国内総生産(GDP、改定値、21:30)
  • 4月の米耐久財受注額(21:30)
  • 5月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ、23:00)
  • (注)時間は日本時間

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

[PR]