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[FT]米中為替戦争回避でもトランプ氏の変節懸念(社説)

2017/4/17 17:03
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 先週もまた、トランプ米大統領の心変わりが続いた。トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長、米輸出入銀行に対する態度を反転させ、前週までよりもはるかに好意的になった。そして結局、中国を為替操作国に認定しなかった。

12日、ストルテンベルグNATO事務総長との会談に臨むトランプ米大統領。NATOに対する姿勢などトランプ氏の「変節」が相次いでいる=ロイター
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12日、ストルテンベルグNATO事務総長との会談に臨むトランプ米大統領。NATOに対する姿勢などトランプ氏の「変節」が相次いでいる=ロイター

 中国の不当な為替慣行を非難し、問題に立ち向かわなかったとして前任者たちをやり玉に挙げ、大統領就任初日に中国を為替操作国に認定すると公約していた人物としては、これは大きな後退だ。一方、現実としては全く賢明な動きだ。だが、自分に対する信頼からドルが強くなりすぎているといううぬぼれた発言が伴ったことを考えると、トランプ氏の変節は信念と熟慮に基づく方針転換というよりも、政策決定に対する常軌を逸したやり方が続くことを示唆している。

 中国が過去に何をしたにせよ、競争優位を得るために介入しているという考え方はばかげている。中国政府はここ数年、2015年8月に世界市場を揺るがしたような通貨下落と止めどない資本流出の悪循環を恐れ、人民元の引き下げではなく買い支えに数十億ドルをつぎ込んでいる。

 米国は常に、人民元は国の介入から完全に離れて自由に変動すべきだと主張できる。だが、最大の貿易相手国の通貨に対してドルが一気に高くなり、世界の金融システムに不安定化の危険が生じることは、明らかに米国の利益にならない。いずれにせよ、一部の強硬派がどれほどすごんでみせようと、中国を為替操作国に認定したところで、米国はすでに行っている中国政府との人民元に関する協議以外に何かできるようになるわけではない。

■口先介入で為替管理は不可能

 このところの好ましくないドル高は自分に対する市場の信頼ゆえであるというトランプ氏の主張にも疑わしさがある。「トランプ・トレード」の一環で、ドルは同氏の大統領当選後の数週間に急上昇した。その後、貿易加重ベースで上昇幅はピーク時の約半分にまで戻っている。今のドル相場は、米国が他の国々よりも金融を引き締める見通しに従っているように見える。FRBの公開市場委員会が3月に利上げペースの減速を示唆した後、ドルは下落した。

 先週のトランプ氏の発言後、ドルはやや下落したが、口先介入で為替をうまく管理できると思うのは間違いだ。この四半世紀、ドルが準備通貨の地位を維持できた理由の一つは、歴代政権が為替を国際競争力上の理由から細かく管理しようとせず、市場の趨勢に委ねてきたことにある。

 トランプ氏がイエレン氏のFRB議長再指名の可能性を示唆したことは歓迎されるが、中央銀行の独立性を阻害する文脈になってはならない。今のトランプ氏は低金利を求めているようだが、大統領選中に利上げペースが遅いとイエレン氏を非難したのと同様、低金利政策の維持を求めて同氏に圧力をかけるのも間違いだ。

 トランプ氏が分別ある政策にどうにか行き着き、政権内の理性の声に耳を傾けることは常に喜ばしい。だが、むしろ心配なのは、そうした変化が気まぐれから起きているように見えることだ。

 米国と中国の為替戦争が少なくとも当面は回避され、世界は安堵のため息をつけることになった。だが、これでトランプ政権が国際経済の分野で破壊的な対決を引き起こす可能性は消えたと思うべきではない。

(2017年4月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


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