サウジ、対米関係悪化 「提訴」法成立

2016/10/14 0:53
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 【ドバイ=久門武史】サウジアラビアと米国との間で火種が広がっている。米議会でサウジを念頭に、米同時テロへの関与を理由として外国政府に損害賠償を請求できる法律が成立。さらに、サウジ主導の連合軍によるイエメン空爆で多くの民間人が犠牲となり、米国が懸念を強めている。対米関係の悪化は、サウジが進める経済改革にも影を落としかねない。

 「国際関係に対する脅威だ」。サウジ政府は「サウジ提訴」を可能にする法律の成立に反発し、「深刻な結果」を防ぐ措置をとるよう米国に求めた。3日の閣議での声明を国営通信が伝えた。

 すでに同時テロの遺族がサウジ政府に損害賠償を求め、ワシントンの裁判所に提訴している。同時テロの実行犯の多くはサウジ国籍だった。米議会報告書によると、サウジ政府が事件に組織的に関与した証拠はない。

 サウジは同法の成立をけん制し、保有する米国債など最大7500億ドル(約75兆円)分の資産の売却も示唆していた。

 余波はサウジのムハンマド副皇太子が主導する脱・石油の改革におよぶ恐れがある。「ビジョン2030」構想では国営石油会社サウジアラムコの上場で政府系ファンドを拡大し、外国企業への投資で原油以外の収入を増やすことを狙う。米国には有望な新興企業が多く、サウジの戦略に狂いが生じる可能性がある。

 アラムコのニューヨーク証券取引所への上場に慎重論が出る可能性もある。ゼネラル・エレクトリック(GE)などサウジに投資する米企業の足かせにもなりかねない。

 サウジの隣国イエメンでの民間人の犠牲者拡大も響きそうだ。8日、首都サヌアの葬儀会場が空爆を受けて140人以上が死亡した。サウジ主導の連合軍による空爆とみられ、米国側は「サウジとの安全保障協力は無制限ではない」と指摘。ケリー米国務長官はムハンマド副皇太子に電話で強い懸念を伝えた。

 サウジは経済と安全保障で多くを米国に頼るが、関係改善の糸口がみえない。

 ▼米国の「サウジ提訴」法 2001年9月11日の米同時テロ遺族がサウジアラビアなど外国政府に対し、損害賠償訴訟を起こせるようにするテロ支援者制裁法のこと。通常、外国政府は「主権免除の原則」が認められ、他の国の裁判所で起こされる訴訟から除外される。米上下院は9月末、与野党の賛成多数でオバマ大統領の拒否権を覆し同法を成立させた。

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