アジア > アジアニュース
アジア最新ニュースの掲載を始めました

タイ民政復帰、また遅れ 国王が新憲法案の修正要求

2017/1/11 0:45
保存
印刷
その他

 【バンコク=小谷洋司】昨年12月に即位したタイのワチラロンコン新国王が新憲法案の一部修正を求めていることが10日、分かった。新憲法案は昨年8月の国民投票で承認され、公布へ国王の署名を待つばかりだった。政府は修正・承認の手続きを急ぐが、法令で定めた2月6日の署名期限には間に合わない見通し。民政復帰に向けて今年末に予定していた総選挙はまたも先送りが必至となった。

 プラユット暫定首相が10日の記者会見で明らかにした。首相は「国王の権限に関する3つか4つの事柄を修正する必要がある」と述べたが、具体的な中身への言及は避けた。国王の不在時に公務を代行する摂政を恒久的に置く規定や、政治危機の解決に積極的にかかわるための根拠規定を求めているとの情報もある。

 タイでは2014年5月の軍事クーデター時に旧憲法を廃止。現在は軍事政権が定めた暫定憲法に従い、民政復帰に向けた準備を進めている。選挙制度などを定めた新憲法の制定はその柱だ。

 暫定憲法によると新憲法案は提出から90日以内に国王の署名を得る必要があり、期限が来月6日に迫る。それを過ぎると廃案だが、首相は国民投票を経た憲法案が国王の意向で廃案となる異常事態は避けたい考えだ。

 新憲法案は約280条からなる。修正点はごく一部だが、そのための手続きが煩雑になる点で影響は小さくない。

 まずは暫定憲法が定める署名期限を延長し、憲法案の取り下げや修正、再提出などの規定を新たに書き加える必要がある。一方で暫定憲法は安全保障などにかかわる重大事についてプラユット氏に超法規的な「非常大権」を与えており、首相はこの強権を発動して手続きを進めるとみられる。国民投票の再実施は避ける構えだ。

 一連の手続きについてプラユット首相は「暫定憲法の修正に1カ月、憲法案の修正作業には2~3カ月かかる」との見通しを示した。その後、新国王に再提出する。国王の署名に改めて90日間の猶予をもうければ、最長7カ月もの時間が必要になる計算。このため17年末に予定された総選挙は18年半ば以降に、選挙結果確定や閣僚選任を待って民政復帰するのは18年後半以降にずれ込む。

 14年のクーデター直後、軍事政権は民政復帰への行程表を策定し、翌15年中の総選挙実施を掲げた。だが新憲法草案を巡る国民投票の実施や、最初に作成した憲法草案が軍指名の評議会で否決されたことなどで、憲法制定作業が長期化した。

 新国王に提出された今の新憲法案は昨年3月末にまとまり、同8月の国民投票では約6割の賛成を得て承認された。ただ総選挙はすでに当初の想定から約2年遅れの17年末までずれ込んでいた。

 加えて昨年10月に在位70年で国民から絶大な尊敬を得ていたプミポン前国王が死去。同12月に長男のワチラロンコン皇太子が新国王に即位したものの、1年間の服喪後に国葬や新国王の戴冠式をおこなう関係で、たとえ今回の修正要求がなくても、総選挙は先送りせざるをえないとの見方が浮上し始めていた。

保存
印刷
その他

電子版トップアジアトップ

関連キーワードで検索

ワチラロンコン

NIKKEI ASIAN REVIEW

COMPANIES TO WATCH

[PR]