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コーラン侮辱で中国系知事実刑 インドネシア、強まる分断

2017/5/9 19:52
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 【ジャカルタ=鈴木淳】インドネシアの地方裁判所は9日、イスラム教の聖典「コーラン」を侮辱する発言をしたとして、バスキ・ジャカルタ州知事に禁錮2年の実刑判決を言い渡した。検察の求刑より重い判決を出した。少数派の中国系でキリスト教徒のバスキ氏に予想外の実刑判決が出たことで、宗教・民族の多様性や寛容さを国是としてきたインドネシア社会の分断はより深刻になった。

 裁判で無罪を主張していたバスキ氏は判決後「控訴する」と述べた。同氏は即日収監され、ジャロット副知事が知事代行を務める予定だ。

 バスキ氏は州知事選挙に関連し「コーランに惑わされる人は(キリスト教徒の)自分に投票できない」という趣旨の発言をしたとして、宗教侮辱罪で在宅起訴された。国際人権団体は少数派弾圧として訴追を批判していた。

 バスキ氏は政策実現能力の高さから多数派のイスラム教徒を含め一時は7割を超える支持を集めた。ただ歯に衣(きぬ)着せぬ言動がトラブルを招くことも多かった。特にイスラム法による統治を目指す一部の強硬な団体が反発、昨年12月には20万人超のデモ隊がジャカルタ中心部を埋め尽くした。

 4月の州知事選では、強硬なイスラム教団体が支持した候補が勝利し、バスキ氏は10月の任期切れを控えていた。敗北はバスキ氏に反感を抱いた市民が支持に回ったため。「バスキ氏の失言を団体の勢力拡大に利用している」との見方もある。

 「アホック(バスキ氏の愛称)を守れ」「もっと重い刑を」。9日、裁判所前では数千人の支持派と反対派がにらみ合い、州内で治安部隊1万3000人が警戒にあたった。こうした状況に政府は強い危機感を持つ。ジョコ大統領は国是である「多様性のなかの統一」を守ることを連日訴えている。8日、イスラム法に基づく国家建設を主張する1団体について、非合法化すると発表した。

 ジャカルタでは1998年5月、大規模な暴動があり、多数の中国系住民が殺害される事件があった。宗教や民族の対立がより深刻になれば、社会不安が再燃する恐れもある。投資の冷え込みを通じて堅調な経済への悪影響も避けられない。

 首都ジャカルタは政治・経済の中心で、特別州に指定されている。周辺都市もあわせ首都圏には人口の1割超の約3000万人が暮らす。

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