イタリア首相が辞意 国民投票で改憲否決

2016/12/5 12:40
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 【ローマ=原克彦、竹内康雄】イタリアは4日に投開票した国民投票で、上院の権限を大幅に縮小する憲法改正案を否決した。政治の安定に向け改正案可決を目指したレンツィ首相は5日未明(日本時間同日午前)、辞任する意向を表明した。多額の不良債権を抱える伊銀行の経営健全化が遅れ、欧州が一段と不安定になる懸念もある。

 伊内務省によると国民投票は約6万3千カ所ある開票区のほぼすべてが開票を終えた時点で反対が59.6%、賛成が40.4%だった。投票率は67%だった。

 レンツィ首相は開票開始から1時間半ほど後に記者会見し、「反対派の勝利は明白だ」と敗北を認めた。「すべての責任をとる」とも述べ、5日中にマッタレッラ大統領に辞表を提出する考えを明らかにした。

 改憲案は上院の定数を選挙で選ぶ315人から地方の代表者ら100人に減らし、内閣承認や立法に関する権限をほとんどなくす内容だった。同国では上院と下院がほぼ同等の権限を持ち、多数派が異なる「ねじれ」が生じると政権交代が起きやすい。法案の審議も遅れがちで、経済活性化に必要な規制緩和などを進めにくいのを是正する狙いがあった。

5日、辞任の意向を表明するイタリアのレンツィ首相=ロイター
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5日、辞任の意向を表明するイタリアのレンツィ首相=ロイター

 改憲案は4月に議会を通過したが、国民投票はレンツィ首相が「否決されれば辞任する」と公言したことで政権への信任投票へと一変。欧州連合(EU)懐疑派の新興政党「五つ星運動」など野党は反対運動を強化し、国会のチェック機能が低下することなどを問題点に挙げて反対票を投じるよう呼びかけた。

 当初から反対派が多いとみられた南部に加え、賛成派優勢とされた北部でも反対派が票数を伸ばした。有権者が景気回復の鈍さに不満を抱えたことに加え、改憲で下院と首相が強くなりすぎることを不安視したとみられる。伊憲法は過去に独裁者ムッソリーニが台頭した反省から、権力の分散を重視した経緯がある。

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 レンツィ氏辞任を受け、マッタレッラ大統領は次の首相を指名するか、総選挙に向けて議会を解散するかを決める。いずれにしても労働市場改革などを推し進めてきた現政権の改革路線が後退するのは必至。政治への不安が経営不振に陥った銀行の再建計画など金融問題に飛び火すれば、欧州債務危機の再燃につながりかねない。

 英国が6月の国民投票でEUからの離脱を決め、米国では11月の大統領選で反エスタブリッシュメント(支配階層)を象徴するトランプ氏が勝利。こうした流れが波及し、イタリアでも国民の不満が投票に反映されたとの見方もある。各国で右派勢力が台頭する中、来年に仏大統領やドイツ議会選を控える欧州は新たな試練を迎えた。

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