イラン、サウジの処刑に猛反発 群衆が大使館襲撃

2016/1/3 19:57 (2016/1/3 21:23更新)
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 【ドバイ=久門武史】イスラム教スンニ派の大国サウジアラビアは2日、国内でのテロに関与したなどとして死刑判決を受けた47人を処刑したと発表した。サウジ王室に批判的だったイスラム教シーア派の有力な宗教指導者ニムル師が含まれており、シーア派国家のイランは激しく反発。抗議する群衆が首都テヘランのサウジ大使館を襲撃するなど、混乱が広がった。

 シリア内戦やイエメン情勢などを巡って鋭く対立する両国間の関係が一段と悪化するのは避けられない。中東でスンニ、シーア両派の対立を背景とする緊張が高まる恐れもある。

 イランの最高指導者ハメネイ師は3日、処刑について「政治的な過ちだ」と厳しく非難。そのうえでサウジに対し、「神の報復を受けるだろう」と表明した。サウジ外務省は「イランはテロを支援している」と主張。両国は互いに相手国の大使を呼んで抗議するなど、対立が激しくなっている。

 イランからの報道によると、テヘランのサウジ大使館では群衆の一部が暴徒化し館内に乱入。警察が約40人の身柄を拘束した。火炎瓶を投げつける者もいたが、サウジ側の人的被害は確認されていない。抗議行動はイラン北東部のマシャドでも起こり、サウジ領事館前に集まった群衆と治安部隊とのもみ合いになった。

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 イランのほかシーア派が多いイラクやバーレーンでも、処刑に抗議するデモが発生した。イラクのシーア派最高権威シスタニ師は3日、処刑を「不当な攻撃だ」とする声明を出した。レバノンのシーア派武装組織「ヒズボラ」もサウジによる処刑を「犯罪」と断じた。

 サウジが2日に処刑した47人のうち、大部分は国際テロ組織アルカイダの支持者だった。ニムル師は2012年に逮捕され、「宗派対立をあおった」などとして14年に死刑判決を受けていた。サウジはスンニ派住民が圧倒的多数を占めるが、東部など一部にシーア派住民もいる。

 サウジは隣国イエメンで台頭したシーア派武装組織「フーシ」の背後にイランの支援があるとして同国を批判。シリア内戦を巡っても、アサド政権を支えるイランとアサド氏退陣を求めるサウジが対立している。加えて昨年サウジにあるイスラム教の聖地メッカで、多数のイラン人巡礼者が死亡する事故が起こるなど、両国間では緊張が高まっていた。

 シリア内戦の解決に向けては昨年10月にウィーンで開かれた多国間の外相会議で、サウジとイランが初めて同じ交渉の席に着き、打開策を話し合った。今回の処刑を巡る反目で、両国間の建設的な対話は難しくなりそうだ。イエメンの混乱の収束や、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討にも悪影響を与える可能性がある。

 国連の潘基文事務総長は2日、サウジの死刑執行について「非常に失望している」とする声明を発表。「各国の指導者は宗派間の緊張が高まらないよう努めなければならない」とも強調し、両国に自制を求めた。

 ▼スンニ派とシーア派 イスラム教の二大宗派で、世界のイスラム教徒人口のうちスンニ派が約8割、シーア派が1割強を占めるとされる。同じイスラム教でも預言者ムハンマドの後継者を巡る見解で両派には大きな違いがあり対立の原因となっている。
 サウジアラビアなど中東・北アフリカの多くの国でスンニ派が多数派を占めるが、イランではシーア派が多数派を占める。内戦が続くシリアやイエメンではサウジとイランがそれぞれの宗派に属する勢力を支援していて、内戦の解決を難しくしているとされる。

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