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米、貿易で対中圧力 対北朝鮮で通商301条適用視野

2017/8/2 19:53
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 【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権が1日、不公正貿易での制裁も視野に、中国に米通商法301条に基づく調査を始める検討に入った。トランプ大統領は北朝鮮問題を巡って一時は対中融和路線に傾いたが、北朝鮮はミサイル発射などの挑発行動が収まらない。大統領選時のようにトランプ氏が再び対中強硬路線を鮮明にするようだと、世界貿易にとっても不安定要因になる。

トランプ米大統領=AP

トランプ米大統領=AP

 今回検討する対中貿易での調査は、中国が外資企業にデータセンターを現地に置くよう求めるIT(情報技術)分野の規制などが対象になる可能性がある。米メディアは早ければ2日にもトランプ大統領が米通商代表部(USTR)に調査開始を指示すると報じた。知的財産権の保護などより広範な調査になるとの見方もある。

 通商法301条は強力な権限があり、1980年代には日本を相手に通商法301条での調査を乱発し、カラーテレビなどの関税引き上げにつながった経緯がある。ただ、世界貿易機関(WTO)が発足した95年以降は制裁措置の発動事例がほとんどなく「抜かずの宝刀」と言われてきた。

 WTOルールは一方的な貿易制限措置を禁じる。通商法301条は米国が不公正貿易かどうかを自国で判断して一方的に制裁を科す仕組みで、WTOルールに抵触する可能性が極めて高い。トランプ政権が実際に制裁措置に動けば、世界的な反発を招きかねない。

中国の習近平国家主席=AP

中国の習近平国家主席=AP

 トランプ政権の対中政策は迷走している。米国はモノの貿易で年7千億ドルを超す赤字を抱えているが、その約半分は中国が占める。国内産業の保護を前面に打ち出すトランプ氏は大統領選時に「中国製品には45%の関税を課す」などと前例のない過激策を掲げていた。

 政権発足後は北朝鮮の核・ミサイル開発問題で中国の協力を求め、対中強硬策を一時封印した。ただ、北朝鮮の挑発行動は止まる気配がなく、トランプ氏は「中国には非常に落胆した」などと不満を強めていた。7月中旬の「米中包括経済対話」でも貿易赤字削減に向けた具体策を打ち出せず、トランプ政権発足後の米中関係には早くも行き詰まり感があった。

 世界経済で国内総生産(GDP)1位の米国と2位の中国で通商摩擦が深刻になれば、周辺の貿易相手国にも強い影響が出そうだ。トランプ政権は鉄鋼の新たな輸入制限も検討しており、中国だけでなく日本や欧州などが幅広く関税引き上げなどの対象になる可能性もある。各国は対抗措置を検討しており、世界的に保護主義の波が一気に強まる懸念がある。

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