廃炉、最難関に光明も 2号機に溶融燃料
1・3号機なお課題、福島第1

2016/7/29 0:48
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 東京電力福島第1原子力発電所2号機で溶融燃料の影を捉えたことで、廃炉作業の中で最も難しい燃料の取り出しにわずかに光明が差してきた。燃料の大部分が原子炉の内部に残っていれば、1979年に事故を起こした米スリーマイル島原発で使われた廃炉手法を応用できる可能性がある。ただ、福島第1原発の事故はより深刻で、廃炉に向けた工程表通りに進むかは依然として不透明だ。

廃炉作業が続く福島第1原発(福島県大熊町)
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廃炉作業が続く福島第1原発(福島県大熊町)

 廃炉作業を進めるうえで最大の難関が溶融燃料の取り出しだ。そのためにはまず、どこにあるのかわからなかった燃料の位置や量を正確につかむ必要がある。

 今回の調査で2号機では、溶融燃料は炉心のある圧力容器の底に大部分が残っている公算が大きいとわかった。東京都市大学の高木直行教授は「非常に重要な情報だ。燃料の取り出し方法の選定や開発に必要な技術を絞り込みやすくなる」と話す。

 スリーマイル島原発は炉心溶融が起きたが、6年余りかけて技術開発などの準備を進め、取り出しに成功した。同原発では圧力容器に溶融燃料がとどまっていた。今回の調査によって、2号機はスリーマイル島原発で使った技術を活用できる可能性が出てきた。

 これまで、炉心溶融を起こした1~3号機は原子炉格納容器を水で満たす「冠水工法」の検討を進めてきた。2号機でスリーマイル島原発のように圧力容器だけに水を満たして溶融燃料を取り出せれば、冠水工法より作業が簡単になる。仮に、この技術が使えれば、取り出しにかかる期間とコストの短縮につながるだろう。

 ただ、福島第1原発の事故はより深刻で、圧力容器も損傷して穴が開いている可能性がある。容器の損傷が軽微で、補修して塞ぐことが可能なら、スリーマイル島原発の経験をより生かせるようになる。

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 2号機で発生した溶融燃料の量はスリーマイル島原発よりもはるかに多い。溶融燃料は制御棒などを取り込んで固まっている可能性がある。さらに詳細な情報を集めることが欠かせない。東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントは「この先は作業を進めるには、圧力容器の周辺の状況を調べることが大事だ」と話す。

 格納容器の内部は放射線量が高いため、人が近づくことは難しい。政府と東電は遠隔操作のロボットやカメラを使って、圧力容器付近を調査する計画。2018年度以降に内部を本格的に探査する見通しだ。

 事故から5年がたち、ようやく2号機で溶融燃料の影を捉えたが、1、3号機は溶融燃料の位置を確認できていない。15年に今回と同じ手法で1号機を調べたところ、圧力容器の中には何もなかった。ほぼ全量が圧力容器を突き破り、格納容器の底に溶け落ちたとみられている。3号機については同様の調査に着手できていない。

 さらに、取り出し機器の開発や具体的な方法の絞り込みなど前例のない技術開発が必要で、課題は山積している。政府と東電は21年中に1~3号機のいずれかで溶融燃料の取り出しを始める計画だが、今後の作業で予想外の事態も起きうる。30~40年かかるとされる廃炉の道は険しい。

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