廃炉、次は解体技術確立 三菱重工など連携探る

2017/4/19 20:14
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 原子力規制委員会が19日、4社の原子力発電所計5基の廃炉を認可した。運転期間を「原則40年」に制限するルールの導入後としては初めてで、国内でも本格的な廃炉の時代を迎える。原発解体に必要なノウハウや技術を得ようと電力会社などは国内外で連携を進め、廃炉ビジネスをにらんだ企業の動きも始まった。ただ、解体によって出る大量の廃棄物の処分という課題も残っている。

廃炉で先行する浜岡原発でポンプを解体する作業の様子(中部電力提供)
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廃炉で先行する浜岡原発でポンプを解体する作業の様子(中部電力提供)

 認可されたのは日本原子力発電敦賀1号機(福井県)、関西電力美浜1、2号機(同)、中国電力島根1号機(島根県)、九州電力玄海1号機(佐賀県)。いずれも安全対策の費用がかさむことから廃炉を選んだ。

 福島第1原発事故の前には、日本原電東海原発(茨城県)や中部電力浜岡1、2号機(静岡県)の廃炉が認可された。四国電力は伊方1号機(愛媛県)で申請済みだ。事故前には国内に54基の原発があったが、福島第1の6基と合わせて15基の解体が決まっている。

 運転40年の原発は今後、年に1~2基ペースで出る見通しだ。運転延長を申請した原発を除くと、関電大飯原発1、2号機(福井県)や九電玄海2号機、四電伊方2号機などが期限を迎える。

 課題はまず、原子炉など放射性物質に汚染された機器の解体・撤去への技術の蓄積だ。国内では商用原発で廃炉を終えた例はなく、電力会社は技術やノウハウの獲得を狙って連携を模索する。関電は美浜1、2号機の廃炉で仏原子力大手のアレバや三菱重工業に協力を仰いだ。配管や機器の除染で活用する。日本原電は昨春、米国の廃炉専門会社エナジーソリューションズと敦賀1号機の廃炉に向けて協力することで合意した。

 電力会社間の連携も始まった。関電は昨年、九州、中国、四国の3社と提携した。資機材の共同調達や技術の共有、人材育成などで協力し、廃炉作業のコスト圧縮を進める。国は原発の再編を後押ししており、効果が高いと判断すれば、将来的に原発事業の再編につながる可能性もある。

廃炉が決まった原発の状況
原発名完了時期
(予定)
19日に
認 可
敦賀1号機
(日本原子力発電)
2039年度
玄海1号機(九州電力)43年度
美浜1、2(関西電力)45年度
島根1(中国電力)45年度
作業中東海(日本原子力発電)25年度
浜岡1、2(中部電力)36年度
申請
済み
伊方1(四国電力)認可後
約40年

(注)福島第1原発(東京電力)は1~3号機の溶融燃料取り出しへ準備中

 関連企業でも、廃炉ビジネスをにらんだ動きに取り組んでいる。三菱重工業は一昨年に廃炉を専門に扱う部署を設置した。関電美浜1、2号機と九電玄海1号機の主要設備を手がけており、廃炉も担いたい考えだ。ゼネコンでは清水建設が昨夏に英キャベンディッシュ・ニュークリアと技術協力協定を結んだ。

 廃炉が認可された5基について、電力各社は引当金を電力料金に上乗せして積み立てている。総費用は1800億円ほどと見積もっており、うち1600億円程度はすでに引き当てた。しかし、20~30年にわたる困難な作業で、費用が上振れする恐れもある。

 廃炉を円滑に進めるには他にも課題がある。最大の課題は解体で出る廃棄物の処分先だ。4原発5基の廃炉で生じる廃棄物は計約2万7千トンに上る。処分先探しで周辺の自治体との交渉で難航が予想される。

 例えば先行する東海原発では、極めて低い放射線を出す廃棄物を敷地内に埋めようと計画しているが、地元の不安は根強い。浜岡原発も当面は原発敷地内に保管する。

 処分法が定まらないことも課題だ。放射性物質に汚染されたレベルが高いものは地下70メートルよりも深い場所に埋めることになっている。だが、具体的な方法は規制委での議論が始まったばかりだ。事務局である原子力規制庁の幹部は「まとめるのは難しい」と明かす。

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