診断つかない疾患 原因遺伝子特定へ16機関タッグ

2016/5/9 0:40
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 国立精神・神経医療研究センターなど全国の16医療機関は、診断がつかない成人患者のゲノム(全遺伝情報)を網羅的に解読し、原因遺伝子を突き止める「未診断疾患イニシアチブ(IRUD)」を始動した。患者に共通する遺伝子変異を見つけ出し、まれな病気の診断や治療法の開発につなげる狙いだ。

 検査をしても診断がつかない患者は、現在はそのままになっていることが多い。新たな枠組みでは、主治医が東京大学や大阪大学などの拠点病院に紹介。拠点病院は診断委員会を設けて詳しく調べ、それでも診断できない場合、慶応大学か横浜市立大学に患者の血液サンプルを送る。

 慶大などのゲノム解析センターは、血液サンプルを用いてたんぱく質の設計図となる配列をすべて解読し、変異している遺伝子を特定。先天性疾患の原因遺伝子を網羅した米のデータベースなどを参照し診断をつける。

 データベースで診断がつかなければ、原因遺伝子がまだ見つかっていない病気である可能性が高い。同じ症状を持つ患者同士の配列を比較し、共通する変異を探索する。見つかればそれが病気の原因と考えられる。

 拠点病院は解析の結果を患者に説明し、相談に乗る。患者のデータは、近く設置するデータセンターで一元管理する。

 医師や製薬会社にとってはまれな病気の原因となる遺伝子変異を効率よく発見でき、診断や治療法開発の手掛かりが得られる利点がある。

 患者は病名がわからない不安が解消され、予後や治療研究などの情報を得やすくなる。「診断がつかない患者を減らし、診療を助けることにもつながる」とプロジェクトを統括する水沢英洋・国立精神・神経医療研究センター理事長は話す。

 同様の試みは小児患者で先行。昨年7月からこれまでに約1500人のゲノムが解析され、4分の1の診断がついた。

 中には極めてまれな「ロイス・ディーツ症候群」と診断された女児もいた。放置すると突然死する恐れがあるが、確定診断ができたことで予防的治療を開始できた。

 また発達遅滞や血小板減少、リンパ浮腫などの症状を持つ小児2人は、データベースでは診断がつかなかったが、ともにCDC42という遺伝子に変異があると判明。昨年8月、解析した慶大のチームが「武内・小崎症候群」という新たな病気として報告した。

 慶大は今年、診断がつかない病気を診る「未診断疾患外来」を設置。医師と遺伝カウンセラーが患者や家族の相談に乗っている。

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