不動産融資最高 12兆円 16年15%増、節税アパートなどで活況

2017/2/10 0:57
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 日銀が9日発表した「貸出先別貸出金」によると、2016年の金融機関による不動産融資は前年を15.2%上回る12兆2806億円だった。統計を遡れる1977年以来で過去最高だ。地価上昇で不動産投資信託(REIT)向け融資などが増えた。「バブル」といえるような状況にはないものの、節税を目指したアパートの過剰建設などひずみも広がる。金融庁や日銀は少し警戒のレベルを引き上げている。

 15年の不動産業向け新規融資の伸びは6%で、16年の伸びは2倍以上になった。新規融資全体でみると16年は10.4%増の48兆3988億円と97年以来の高水準を記録し、これも4分の1を占める不動産向けが伸びの原動力になっている。

 不動産向けの貸出残高は昨年12月末で70兆3592億円と70年3月末以降で過去最高だ。477兆9094億円に上る総貸出に占める不動産の割合は15%だった。

 追い風は地価上昇だ。国土交通省によると、16年10月1日時点で高層マンションなどが集まる100カ所のうち地価上昇は82カ所で下落はゼロ。20年の東京五輪をにらんだ大規模な都市開発や訪日客増への期待から土地の先高観が台頭。海外のヘッジファンドなどによる多額のマネーを呼び込むとともに、銀行の不動産関連融資が膨らんだ。

 16年に日銀がマイナス金利政策を導入したことで、運用難の銀行にとっても値上がりが見込まれるREIT向け融資の魅力が増した。ファンドなどの運用会社に潤沢な資金が集まり、REITの時価総額は現在、約12兆円とマイナス金利を決めたときに比べ1割増えている。

 大手銀は破綻した時に返済の優先順位が低い劣後ローンと呼ばれるややリスクの高い貸し付けなども増やすなど貸出先の開拓に躍起だ。不動産向けに加え、公共事業増による建設や宿泊施設関連などの融資が軒並み伸びたのも16年の特徴だ。

 個人の不動産投資も活発だった。16年の新規貸し出しで不動産と並び増加が目立ったのは個人向けで、前年比2割近く多い17兆7119億円。一部は住宅ローン向けが押し上げたとみられる。

 6件の賃貸物件を保有する建設会社勤務の男性(45)も今年、都内に新たな投資マンションを購入する予定だ。米金利上昇などで「超低金利には持続性はなく、今のうちに購入したい」と語る。

 アパートなどの貸家建設も大きい。国交省の住宅着工統計によると、15年度は4年前よりも3割強多い38万3千戸に拡大。16年度は4~12月だけで前年同期比12%近く多い33万戸に達した。

 アパートを造ると課税する際の資産の評価額が下がり、相続税の節税効果が期待できる。もっとも「人口減社会での貸家の大幅な着工増は実需に見合わず、融資行動がいびつだ」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏)と批判的な声も出ている。

 ある日銀幹部は「不動産業全体では実需の裏付けがある」としつつも、「地方都市を中心に空室が増えると不動産価格の下落につながり、経済にとってマイナスに働く」と話している。

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