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北朝鮮リスク、市場が警戒 日本・アジア株は全面安に

2017/8/10 2:00
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 世界の金融市場が米国との軍事衝突を警戒する「北朝鮮リスク」に神経質になっている。9日は安全資産とされる円が買われて円相場は2カ月ぶりの水準に上昇し、日経平均株価は一時335円安となった。アジアや欧州の株も全面安の展開だ。米国などが株価を押し上げてきた金融緩和の出口という転換点に向かう中、投資マネーはリスクに敏感になっている。

北朝鮮と米国のつばぜり合いが市場を揺らしている(北朝鮮が5月に発射した火星12=朝鮮通信・共同)

 「円買いの勢いが強いぞ」。9日朝、メガバンクのディーリングルームは緊迫していた。先立って北朝鮮の隣国、韓国ウォンが大きく下落。逆に円は買われ、1ドル=109円台後半に上昇した。午後は一時円安方向に押し戻されたが、夕方に欧州市場が開くと109円半ばまで円高が進んだ。

 投資家が久々に「有事の円買い」に動いたきっかけは、北朝鮮と米国のつばぜり合いの激化だ。

 米紙ワシントン・ポストが8日、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功して最大60発を保有するという米国防情報局の分析を報じたほか、トランプ大統領が「北朝鮮には世界が見たこともない炎と激怒で対抗する」と発言。9日午前には、朝鮮人民軍戦略軍が米領グアムの周辺に中距離弾道ミサイルの発射を検討していると朝鮮中央通信が伝えた。

 静岡県立大学の小川和久特任教授は「北朝鮮は米国との対話を前提とする条件闘争の準備に入っており、米国を本気で怒らせない範囲で挑発を繰り返している」とみる。 北朝鮮リスクは日本株も直撃。「夏休みでリゾート滞在中の投資家から問い合わせがきた」。BNPパリバ証券の岡沢恭弥氏は海外勢の売り注文をさばくのに追われた。7月の変動率が36年ぶりの低水準を記録するなど相場は膠着していたが、この日の日経平均は約3カ月ぶりの下落幅だ。

 市場の警戒はアジアや欧米にも拡大。韓国株は約1カ月半ぶりの安値をつけ、台湾株や香港株も下げた。9日の欧州株は独仏伊などが1%超下げ、米ダウ工業株30種平均は続落して始まった。

 北朝鮮の行動への市場の反応はこれまで鈍かった。弾道ミサイルを発射した7月4日の日経平均は23円安、週末のミサイル発射を受けて始まった同31日は34円安。「いつもの瀬戸際外交」と楽観視する声が多かった。

 今回は攻撃対象にグアムという具体名が出てきたうえ、政策運営の行き詰まりが目立つトランプ氏が得点稼ぎで北朝鮮に厳しく出るとの見方が浮上。実際、米国では対北朝鮮の軍事行動を支持する世論調査も出始めた。「こうした雰囲気の変化が、市場に危機レベルが1段階上がったように感じさせた」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏)

 各国の株価に高値警戒感が強まり、売りは出やすい局面。アセットマネジメントOneの鴨下健氏は「北朝鮮リスクを利益確定売りを出す口実にした面がある」という。

 だが世界株が長期的な下落局面に入ったとの見方は少数派だ。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が各国ともおおむね良好だからだ。野村証券の若生寿一氏は「堅調な企業業績が下支えし、短期的な下落で終わるだろう」とみている。

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