販売・開発に個人情報活用 保護法改正案成立へ

2015/8/28付
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 個人情報保護法改正案が9月3日に成立する見通しになった。匿名の個人情報を企業などに提供できるようにして商品の購入履歴などの「ビッグデータ」を経済活動に生かす狙いがある。個人情報保護委員会を新設し、個人情報を取り扱う企業などの監視体制も強める。人々が情報を出すことを過度に控えるようになり、知る権利が侵害されないかという不安も残る。

 個人情報保護法改正案は、預金口座にも税と社会保障の共通番号を付けるマイナンバー法改正案と一括で審議している。日本年金機構の情報漏洩問題を受け、参院の審議で基礎年金番号とマイナンバーの連結を当面延期する修正がマイナンバー法改正案に入ったため、今月28日の参院本会議で可決した後、9月3日の衆院本会議で可決、成立する見込みだ。

 改正案ではICカードを使った交通機関の利用記録やネット通販の購入履歴などの個人情報から名前や住所などを除いて個人が特定できないようにした「匿名加工情報」の規定を設けた。本人の同意がなくても、データを活用したい企業などに渡せるようになる。企業には利用する項目を公表するなどの義務を課す。これに違反し、命令に従わない場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。

 今回の法改正は、2013年のJR東日本によるICカード乗車券の利用データの販売を巡る騒動が発端だ。生年月や性別、乗降駅などの情報を日立製作所が駅施設の利用動向の分析に使う予定だったが、事前に十分な説明がなく、利用者から苦情が相次いだ。

 個人情報の活用に関する法制度が整えば、企業などはビッグデータを利用しやすくなる。小売業者が販売計画に生かしたり、メーカーが製品開発の参考にしたりできる。電力使用量や交通情報を把握し、的確なタイミングでクーポンを発行するサービスなども可能になる。クレジットカード会社などが購買データを匿名化して販売する事業が拡大しそうだ。

 個人情報の活用を規定するのに合わせ、保護体制も強化する。14年にベネッセコーポレーションから大量の顧客情報が漏洩した事件を受け、不正な名簿取引の規制を強める規定も盛り込んだ。不正な利益を得るために情報を漏らした者には1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。

 これまで規制の対象外だった個人データの取扱数量が5000人分以下の中小・零細企業も規制対象にする。日本商工会議所によると、100万社超が対象に加わる。企業が第三者と個人データをやり取りした場合、第三者の社名や氏名などを記録し、保存しなければならない。人手の少ない中小・零細企業には重い負担になる。

 政府は監視体制を強めるため、16年に内閣府に第三者機関の個人情報保護委員会を新設する。各所管大臣が担当してきた民間企業の監督権限を集中させ、立ち入り検査も可能にする。日本新聞協会は3月に個人情報保護委員会の任務や規則が明確でないとして「過剰反応や、法を口実とした情報の出し渋りに拍車がかかる懸念がある」と指摘している。

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