社会保障費、止まらぬ膨張 15年度予算案

2015/1/15付
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 政府は14日、暮らしに関わる社会保障予算に過去最高となる31.5兆円をあてることを決めた。保育施設の増設など子育て支援に5200億円を計上し、14年度から2100億円上積みしたのが特徴だ。年金、医療、介護分野では抑制策を実施するが、高齢者が増えるため費用の膨張が止まらない。

 子育て予算の増額は、女性が働きやすい環境づくりに軸足を置いたことに特徴がある。政府は2017年度末までに40万人分の保育施設を整備して、待機児童を解消する目標を掲げている。15年度は定員を8万人増やし、28万人分を確保する。小学生を放課後に預かる学童保育の定員も20万人分増やす。

 保育士の人手不足にも対策を講じる。保育士の給与は全産業平均より月平均で10万円近く低い。民間の保育所で働く保育士の賃金を平均で3%上げるため、その原資を保育所を経営する会社に配る。子育てを含む福祉分野は、14年度比5%増と高い伸び率になった。

 年金、医療、介護に充てる費用も3%前後伸びる。年金は物価上昇に連動して支給額を決める仕組みがある。15年度は抑制策を初めて実施するので、年金額は14年度より1%しか増えない。2.8%の物価上昇分には届かず、実質減額となる。団塊世代が既に年金を受け取る65歳に達しており、年金予算は14年度比3%増の11兆円に膨らむ。

 介護サービスは国が決める単価を平均で2.27%下げることを決めた。利用者の自己負担も同率で下がる。特別養護老人ホームやデイサービス(通所介護)の料金は大幅に下がる見込みだ。介護でも人手不足が深刻なので、780億円を使って介護職員の賃金を月1万2千円上げるための原資を事業者に配る。介護の単価は下がるが高齢化で利用者は増えるため、全体では2.6%増の2.8兆円となる。

 医療も2.6%増の11兆円だ。610億円を使い、自営業者や非正規社員が入る国民健康保険の保険料が割り引きになる対象者を500万人増やす。国保そのものにも1800億円の財政支援を行う。一方で、大企業の健康保険組合の負担を増やして財源を捻出する。会社員の保険料負担が増える可能性がある。

 高齢化や高度な医療の普及などによる社会保障の自然増は、毎年1兆円程度増えてきた。15年度は抑制策の実施で、4200億円増にとどめた。社会保障費全体の伸び率を7年ぶりに3%台にしたが、経済成長率をはるかに上回っている。社会保障制度の持続性を高めるには、歳出削減と同時に、高齢者向け給付を現役世代向けに組み替える改革が必要となる。

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