買い物時に10%分の消費税を払い、後で2%分を払い戻す還付制度は、上限額を設けるため所得が少ない人ほど恩恵が大きい。家計やマクロ経済にどのような影響があるのか。
まず、平均的な年収である550万~600万円の世帯の税負担の変化をみてみよう。1年間に酒を除く飲食料品に使う額は80.3万円。消費税率が8%から10%に上がると、4.6万円の税負担が発生する。2%分の1.5万円の還付があるため3.1万円の負担で済む。
一律の税率を採用する消費税は所得が少ない人ほど税負担が重くなる「逆進性」がある。今回の軽減策で逆進性の緩和はどの程度進むのだろうか。
年収550万~600万円世帯は2%の還付分が上限額の範囲内に収まる。このため、可処分所得に占める消費税負担の割合は軽減策がない場合の0.99%から0.67%に下がる。一方、年収1500万円世帯は0.93%から0.74%に下がる。基本的に、低下幅は所得が少ないほど大きい。 所得が高い人を軽減策の適用対象から外せば逆進性の緩和は一段と進むが、消費を冷やしてしまう懸念もある。上限額や所得制限を巡る政府・与党の調整は今後の最大の焦点だ。
マクロ経済への影響はどうか。還付制度は必要以上に消費者が買い控えしない効果も狙っている。
第一生命経済研究所の試算によると、消費税率が2%上がった場合に、実質国内総生産(GDP)の伸び率は0.24ポイント下がる。これを負担軽減策である還付を実施すると、0.03ポイントの押し上げ効果があり、全体では0.21ポイント低下する。経済に与えるプラスの効果は極めて限定的といえそうだ。
経済、第一生命経済研究所