天皇退位、特例法が成立 一代限り退位容認

2017/6/9 10:14 (2017/6/9 10:57更新)
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 天皇陛下の退位を認める特例法が9日午前、参院本会議で自由党を除く与野党の全会一致で可決、成立した。天皇の終身在位を定めた明治以降で初めてで、約200年ぶりの退位が実現する。退位は陛下一代を対象とするが、政府は「将来の先例となり得る」との見解を示している。今後、改元や儀式など代替わりに向けた準備が加速する。

河戸光彦会計検査院長(右)、一宮なほみ人事院総裁(左)らとの午さんに臨む天皇陛下(9日午後、皇居・宮殿「連翠」)=代表撮影 
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河戸光彦会計検査院長(右)、一宮なほみ人事院総裁(左)らとの午さんに臨む天皇陛下(9日午後、皇居・宮殿「連翠」)=代表撮影 

 特例法は賛成235、反対0の全会一致で可決された。自由党は採決を退席した。

 特例法の第1条には法案の「趣旨」として、陛下が退位に至る事情を詳細に書き込んだ。陛下が83歳と高齢になられ、公務などの継続が困難となることを「深く案じておられる」と指摘。「国民は陛下のお気持ちを理解し、共感している」と明記した。一般化を避け、退位が陛下の個別の事情であることを強調した。

 退位制度を恒久化すれば、恣意的・強制的退位が可能となり、天皇の政治関与を禁じる憲法4条に抵触する懸念があるためだ。だが衆参両院の委員会では菅義偉官房長官が特例法を「将来の先例となり得る」と答弁。その都度、法律を整備すれば退位が可能となるとの認識を示している。

 皇位継承は皇室典範で定めるとした憲法2条とも整合性を取り、皇室典範の付則に「特例法は典範と一体」であることを明記する規定を入れた。皇位継承事由を崩御に限る皇室典範の特例と位置付けるためだ。

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 退位日となる特例法の施行日は、公布日から3年を超えない範囲で政令で定めるとした。その際に首相が三権の長や皇族らで構成する皇室会議の意見を聞いて決めるとの規定も置いた。萩生田光一官房副長官は退位日について9日午前の記者会見で「速やかに手続きを進めていきたい」と語った。退位後の陛下の呼称は「上皇」、皇后さまは「上皇后」となる。敬称は「陛下」を維持する。

 陛下が退位すれば直ちに皇太子さまが天皇に即位する。特例法では天皇誕生日について、現在の12月23日から皇太子さまの誕生日である2月23日に移ると記した。

 皇太子さまの即位に伴い皇位継承順位が1位となる秋篠宮さまの処遇は「皇太子」と同等とする。内廷皇族とはせずに30年近く国民に親しまれてきた秋篠宮家を維持する。一方で公務が拡大することをにらみ、活動予算は各宮家に振り分ける「皇族費」から現在の約3倍の額を支給する。

 衆参両院の委員会では皇位の安定継承を図るため「女性宮家」創設などの検討を盛り込んだ付帯決議も採択した。付帯決議では「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設などについて、先延ばしできない重要な課題」と指摘。政府に法施行後速やかに皇位の安定継承策を検討することを促している。検討結果を国会に報告する期限は設けていない。

 特例法の整備を巡っては、政府が昨年秋に有識者会議を設置。憲法学者や歴史学者などの専門家にヒアリングし、退位に向けた準備を進めてきた。今年3月には衆参両院の正副議長が国会提言をまとめた。法案の恒久化を求める民進党と、一代限りの退位としたい政府・与党の意見が食い違う場面もあったが、先例と位置付けることで与野党の合意形成を図った。

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