新iPadに触ってみた にじむ「マーケティング色」

2014/10/17 6:42
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 【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アップルは16日、比較的小規模な本社内のホールでタブレット(多機能携帯端末)「iPad」とパソコン「iMac」の新モデル発表会を開いた。指紋認証、カメラ連写、新カラーの金色の追加など想定通りの「通常進化」で、やや地味な印象となった。現地会場で実物を触ってみた。

新色ゴールドの「iPadエア2」
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新色ゴールドの「iPadエア2」

 厚みが18%カットとなった「iPadエア2」は確かに薄くなったが、持った感じとして正直なところ前モデルとそれほど大きな感覚の違いはない。とにかく「世界最薄」を追求した印象で、ややマーケティング先行の面が強い。

 ただ、それ以前のモデルからの買い替え対象としては非常に魅力的で、その場合、値段が1万円ほど安い前モデルの「エア」も有力な選択肢として残りそうだ。重要な違いとしてはiPhoneで人気の高かった金色が「エア2」には加わっている点だ。

 今回の機能進化の最大の目玉は指紋認証ボタン。アプリの購入が手軽になるだけでなく、企業での使い道も広がりそうだ。パスワードをより複雑にする代わりに指紋認証で端末へのアクセスを二重に管理するといった使い方が増えそうだ。

「iPadミニ3」(上)より1.4ミリ薄い「iPadエア2」
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「iPadミニ3」(上)より1.4ミリ薄い「iPadエア2」

 基本的にはハードに関してはiPhoneに採用した機能やデザインをそのままタブレットにも移植するのみにとどまっている。タブレット独自の進化という観点ではやや停滞がみられる。アップルは次世代タブレットの開発を今年に入って一時凍結し、アイデアを練り直し、後半に再開している。今回の小幅なモデルチェンジはそうした開発事情を反映している。

 とはいえハード面の進化はなくともスマホやパソコンとスムーズに連携できる新たな基本ソフト(OS)「iOS8」の魅力だけで十分に買い替えの動機になりうる。新OSが対応していないiPad2より前の世代の端末の保有者の買い替えは進むだろう。

 高精細の「レティーナディスプレー」を採用したパソコン「iMac」の画像の美しさには思わず息をのむ。だが、ここまでの画質を必要とする層は限られるかもしれない。

 これも開発中のテレビ端末の試験的なマーケティングの意味合いが強そうだ。プレゼンでも他のパソコンではなく、4Kテレビを比較対象として出してきた。サイズもよりテレビ向けに近い27インチのみでiMacの中で最大のカテゴリーのみにレティーナ版を投入した。ディスプレーの美しさと価格の上げ幅のバランスを見定めようとしているようにみえる。

4Kテレビを上回る解像度のパソコン「iMac」の新モデル
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4Kテレビを上回る解像度のパソコン「iMac」の新モデル

 マーケティング担当のフィル・シラー上級副社長は将来的なテレビ端末への進化について、思わせぶりな笑いを浮かべながら口を閉じるしぐさでかわした。

 今回の新製品から受ける印象は今までのアップルとは別の「クール」さだ。それは組織としての「冷静」さだろう。毎年年末が近づくと機械のように淡々と安定した品質の新モデルを投入し、過去最大の販売規模を更新し続ける。そこには調達の専門家で常に冷静なクック最高経営責任者(CEO)のキャラクターが色濃く反映されている。

 今回アップルが売り出すのは「驚き」よりも「安定した製品」だ。それはそれで消費者のニーズを満たす企業としての「進化」の形ではある。

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