【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アップルは8日、月額9.99ドル(約1240円)で聞き放題の音楽配信サービス「アップルミュージック」を6月30日から米など100カ国以上で始めると発表した。音楽のネット販売で8億人の顧客網を持つ規模を生かしてコンテンツを集め、勢いを増す無料の広告付き音楽配信サービスに対抗する。
サービス提供は日本も含まれる見通し。日本の音楽市場は今もCD依存度が高く、世界的に特異とされる。USENなど既存の事業者に加え、無料対話アプリのLINEも11日から定額制配信を始める予定で、日本にも根付くかが注目される。
新サービスは音楽をダウンロードし、端末に保存して聴くのではなく、曲を受信と同時に再生する「ストリーミング(逐次再生)」方式で提供する。ダウンロード方式と同じ高音質を確保、先行するスウェーデンのスポティファイなどと同じ3千万曲以上をそろえる。
音楽業界との太いパイプを生かし、アップルのサービス限定の先行配信など、独自のコンテンツをそろえ違いを出す。価格はこれらのサービスとほぼ同水準で、3カ月間の無料お試し期間を設ける。曲探しに音声検索も使えるようにする。秋からは競合の米グーグルの基本ソフト(OS)を使った携帯端末上でも利用できるようにする。
視聴履歴などから利用者の好みをふまえ曲を推薦する。地域ごとに曲選びの専門家を置き、特定のジャンルの中の曲の組み合わせをコンピューターではなく人間が選ぶ。昨年、アップルに入社した著名な音楽プロデューサー、ジミー・アイオヴィン氏は「いい曲選びには人間の手が必要だ」と語り、新サービスの付加価値は専門家による曲選びにあると解説した。
音楽家がファンに向けて動画、写真、曲など様々な情報を直接発信できる無料サービスもつくる。従来のラジオのように聞き流す広告付き無料ストリーミングサービスは、24時間放送の無料ラジオ局として刷新する。
世界の音楽業界ではCD販売が落ち込み、スポティファイや仏ディーザーなど広告付きの無料配信を中心とするストリーミングサービスが台頭している。ただし、ダウンロード方式と違いネット接続なしでは聞けない弱点がある。








