トヨタ社長「意志が試される年」 5期ぶり営業減益

2016/5/11 20:30
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 トヨタ自動車は11日、2017年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前期比40%減の1兆7000億円になる見通しだと発表した。東日本大震災などが逆風になった12年3月期以来、5期ぶりの減益だ。円高・ドル安の為替相場が強烈な逆風となるなか、どう巨艦をかじ取りするか。豊田章男社長は記者会見で「意志が試される年になる」と強調した。

 「ここまでの数年間は『追い風参考記録』だった。風がやみ、等身大の姿が見えてきた」

 最高益となった16年3月期に為替変動は1600億円の増益要因となったが、今期は一転、9350億円の減益要因になる。トヨタにとって最大市場である米国で、販売台数に占める現地生産の割合は7割強。「需要のある地域で生産する」ことを基本戦略としてきたが、国内生産の維持や事業規模の拡大により、一定の為替の影響が避けられないのが実情だ。

 「昨年は『意志ある投資を進める』と話した。今年は意志が試される一年になる」

 為替が逆風となるなか、今期の研究開発費は1兆800億円、設備投資は1兆3500億円と、前期比2~4%積み増して、ともにリーマン・ショック以降では過去最高となる。前期は米シリコンバレーに人工知能(AI)の研究所を新設するなど「自動車事業の枠に収まらない領域にも種をまいた」(豊田社長)。今期もこうした息の長い研究開発への投資を続ける方針だ。

 設備投資は部品共通化などによりコスト低減と商品力の強化を両立する新手法「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」の導入に伴う費用がかさむ。昨年は第1号車としてハイブリッド車(HV)「プリウス」を全面改良して発売し、20年に世界販売の半数程度を新手法に基づく車にする計画だ。

 「経営を預かる際、20~30年のコミットが必要と考えた」

 リーマン・ショックの直後に就任した豊田社長ら現在のトヨタの経営陣には苦い記憶がある。赤字転落を受け、設備投資を一気に5割以上減らすなど支出を急減。この結果、エンジンの改良など商品力の強化が遅れ、「当時、アクセルを踏み続けられたメーカーとの差がじわじわと広がった」(トヨタ幹部)

 そのため今回はあえて「必要な投資は外部環境に左右されず進める」(伊地知隆彦副社長)方針を鮮明にした。4月には車のタイプごとなどに基づいて組織を分けるカンパニー制を導入して「仕事の進め方を見直す」(豊田社長)など、新たな取り組みも相次ぐ。こうした中長期の施策と短期の収益管理を両立させることが改めて課題として浮上している。

(名古屋支社 奥平和行)

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