東北の首長、復興へ「地域コミュニティー再生」誓う

2017/3/11 18:48
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 東日本大震災から6年となった11日、被害が大きかった宮城、岩手、福島県で追悼式が開かれた。各地の首長は犠牲者の冥福を祈るとともに、今後の復興事業では震災で傷ついた地域コミュニティーの再生に取り組むことを誓った。被災者の一人ひとりが抱える課題を丁寧に拾い上げていく姿勢も強調した。

宮城県南三陸町の佐藤町長は地元の若い世代への支援などを誓った(11日、同町)
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宮城県南三陸町の佐藤町長は地元の若い世代への支援などを誓った(11日、同町)

 6年前には自身も津波にのまれかけ、あやうく生還した宮城県南三陸町の佐藤仁町長は追悼式の後で、記者団にこう語った。「3月20日には災害公営住宅(復興住宅)がすべて完成する。仮設住宅から移り住む方々が新たなコミュニティーを円滑に築けるように支援するのが、町の大きな課題だ」

 この6年間はインフラ復旧や住宅建設など大規模なハード事業が主体だった。その多くは2017年度にピークを過ぎるため、今後は被災者が本当の意味で新たな生活を始められるような支援策に力を入れるという。

 「6年前に起きたことは、今でもほぼすべて思い出せる。生涯忘れることはない。あの日から、とにかく被災者の生活再建を最優先に取り組んできた。20日の災害公営住宅の落成式は、私にとって南三陸町の新たな町びらきのように感じる」と力を込めた。本当の意味での町の再建が始まる。

 同町の追悼式に出席した宮城県の村井嘉浩知事も「これまでは大規模なハード整備など、復興を大きくとらえて事業を進めてきた。今後は被災者の一人ひとりに寄り添い、各自が抱える課題を丁寧に拾い上げて施策に反映していく。これからの復興事業は、細かいところに目配りすることが重要だ」と語った。

 仙台市が開いた追悼式には、遺族ら約300人が参列した。奥山恵美子市長は式辞で「復興公営住宅などの整備は完了しており、再建先での新たなコミュニティづくりを支援する。今年から継続的に開催される世界防災フォーラムなどを通じて教訓を発信し、世界の防災文化の向上に努める」と決意を述べた。

 震災後に人口が急減した女川町は町の総合体育館で追悼式を開いた。須田善明町長は女川駅前で新たに開業した商業施設が好調なことに触れて「町は多くの人が訪れ、かつて以上のにぎわいを見せるようになった」と話した。さらに「私たちは今も、あの日の続きを生きている。私たちの経験と学び、思いを刻んで未来に伝え続けていく」と語り、震災の記憶と教訓を未来につなぐ決意を新たにしていた。

追悼復興祈念式で式辞を述べる内堀雅雄・福島県知事(11日、福島市)
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追悼復興祈念式で式辞を述べる内堀雅雄・福島県知事(11日、福島市)

 福島県が主催する追悼復興祈念式は、JR福島駅近くの複合施設「コラッセふくしま」(福島市)で午後2時20分から静かに始まった。式辞で内堀雅雄知事は「福島県の未来に明るい希望を感じてもらえるよう、挑戦を続けていく」と誓いを述べた。

 内堀知事は冒頭「巨大地震と大津波、そして東京電力福島第1原子力発電所の事故という未曽有の大災害から6年の歳月が流れた。しかし大切な人、平穏な暮らしを失った悲しみは決して消えることはない」と哀悼の意を表した。現在もなお多くの県民が避難生活を続けていることなどを挙げ「福島の復興はまだ途上にある」と厳しい現状を説明した。

 その一方で「未来をひらく拠点施設の整備や再生可能エネルギー、ロボットなど革新的な産業創出など福島県の復興は着実に前進している」とも指摘。「福島県の未来に明るい希望を感じてもらえるよう、今後も、県民や福島に思いを寄せてくれる方々とともに全身全霊で挑戦を続けていくことを誓う」と締めくくった。

 祈念式には、参列者と一般の献花者を含め計約320人が参加。会場のステージに設けられた祭壇は県内の農家が栽培したトルコキキョウやストックの花々で飾られ、復興に向けた動きがを象徴していた。

 原発事故による避難指示が4月1日に一部解除される福島県富岡町が同県郡山市で開いた慰霊祭には遺族ら約100人が参列し、震災が発生した午後2時46分に合わせて黙とうした。宮本皓一町長は「(解除は)ようやく復興へのスタートラインに立ったにすぎない」と述べた上で「天に召された皆様には、ふるさとの復興・再生に無限のお力添えを賜らんことを切に願う」と語った。

岩手県・釜石市合同追悼式で式辞を述べる達増拓也知事(11日、岩手県釜石市)
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岩手県・釜石市合同追悼式で式辞を述べる達増拓也知事(11日、岩手県釜石市)

 岩手県釜石市では、県と同市の合同追悼式が開かれた。達増拓也知事は「今もなお、1122人の方々が行方不明だ。犠牲になられた方のふるさとへの思いを受け継いで、津波の惨状やその経験の中で得られた教訓を改めて胸に刻み、後世に伝えながら復興を進めていかなければならない」と述べた。野田武則市長も「復興は一歩一歩ではあるが、着実に進展してきた」としながらも、「いまなお1700世帯にのぼる方々が仮設住宅などでの生活を余儀なくされている」と、復興が途上であることを指摘。そのうえで、「震災の悲劇を乗り越え、次世代に誇れる自立したまち、魅力ある釜石の実現に向けて取り組んでいかなくてはならない」と決意を新たにした。

 (仙台支局 村松進、宮崎真、酒井愛美、盛岡支局長 冨田龍一、福島支局長 松本勇慈、郡山支局長 天野豊文)

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