スズキ、総会直後の社長交代 VW係争終了「待てず」

2015/6/30 21:43
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 スズキは30日、鈴木修会長兼社長(85)の長男である鈴木俊宏副社長(56)が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格したと正式発表した。修氏は会長兼最高経営責任者(CEO)として経営の中枢にとどまるとはいえ、株主総会からわずか4日後という異例の社長交代だ。突然の人事の背景には欧州自動車大手、独フォルクスワーゲン(VW)との提携解消問題が横たわる。

スズキの社長退任を発表する鈴木修氏(右)と鈴木俊宏新社長(30日午後、東京都千代田区)

 新体制は事業面を俊宏氏、経営統括と提携戦略などを修氏がそれぞれ担当する。同日の記者会見で修氏は社長交代について「ギリギリで踏ん切りをつけた」と話した。「踏ん切り」をつけなければならなかったのはVWとの提携解消のことだ。

 スズキは2008年、米ゼネラル・モーターズ(GM)と約30年にも及ぶ提携を解消し、翌年にVWと資本提携した。VWがスズキに19.9%を出資する筆頭株主となり、小型車開発や新興国戦略でスズキを活用する。スズキもVWの環境技術などを供与してもらい、トヨタ自動車やGMに対抗する日独連合を築き上げる狙いだった。

 歯車は提携後まもなく狂い始める。スズキは支配力を強めようとするVWに反発。11年11月に提携解消を求めて国際仲裁裁判所に申し入れた。

 修氏は今年の株主総会までには係争が決着するとみていた。そのうえでおよそ3年半もの間、経営の停滞を招いたけじめをつける意向だった。

 ところが仲裁の結論はなかなか出ない。権限を修氏に集中させ続けるひずみも出始めた。15年4月、スズキは国内最多となる199万台のリコール(回収・無償修理)を実施した。修氏はその原因を「私が組織を縦割りにしてしまったため」と反省する。

 提携戦略が停滞する間に自動車業界の合従連衡は進んだ。ホンダとGMは燃料電池車開発で提携し、トヨタとマツダも環境・安全分野などで手を組んだ。「(VW問題解消を)待つ限度を超えてしまった」(修氏)。早急に新体制への道筋を示すため、30日の中期経営計画の発表に合わせて人事を決めたようだ。

 修氏は銀行勤務を経て1958年にスズキに入社。2代目社長の鈴木俊三氏の娘婿となった。浜松市の中堅メーカーを世界規模の自動車会社に育てた。修氏が社長に就任してからの30年で売上高は10倍になった。

 30日発表の19年度までの中計では売上高を14年度比23%増の3兆7千億円、新車販売を18%増の340万台にする。シェア4割を持つインド以外の海外事業の開拓を急ぐ考えだ。俊宏新社長は「スズキはインドばかり注目されるが他はうまくいっていない部分がある」と指摘する。

 VWとの提携を解消したとしても、その後の生き残り戦略をどう描くかというテーマは残ったままとなる。軽自動車という利幅の薄い事業で一定の収益を上げてきたのも、環境技術などコストのかかる分野をGMなどの提携相手に頼ってきたからだ。新体制になってもスズキの行く先には険しい道のりが待ち構える。

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