「ほぼ日」上場、脱「個人事務所」目指す

2017/3/16 19:26
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 著名コピーライターの糸井重里氏が社長を務める「ほぼ日」が16日、株式を新規上場(IPO)した。ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営、「ほぼ日手帳」など生活商品の企画・販売が収益源だ。上場を機に糸井氏への依存度を低め「個人事務所」からの脱却をもくろむ。

ジャスダック市場に新規上場し、記者の質問に答える「ほぼ日」の糸井重里社長(16日、東証)

 上場初日は買い気配のままで推移し、取引は成立しなかった。最終の気配値は公開価格の(2350円)の約2.3倍の5410円だった。いちよし証券の宇田川克己課長は「糸井氏個人の魅力のおかげ」と分析する。高い評価を得たほぼ日だが、糸井氏は「(自分たちは)そんなに美人じゃない」と冷静だ。

 ほぼ日は糸井氏が1979年に設立した個人事務所が前身で、事業モデルは小売業となる。ほぼ日刊イトイ新聞は広告を掲載せず、収入はゼロ。その代わりにサイトの読者の声をもとに、バッグやタオル、調味料などの生活商品を企画し、それらを販売する。ヒット商品のほぼ日手帳は売上高の7割を稼ぐ。

 2017年8月期の単独売上高は前期比1%増の38億円。税引き利益は同8%増の3億2900万円を見込むが、急成長している印象は薄い。糸井氏も「柔らかいIPO」と短期での収益至上主義とは一線を画す。

 糸井氏は上場した理由を「チームが育ち、社会に問いかける部分が必要だと思った」と説く。従業員や顧客が増えるにつれて、社内体制を整備して、持続可能な会社を目指すようになった。最高財務責任者(CFO)の篠田真貴子氏は「(外部株主などの)ステークホルダー(利害関係者)が増えることで企業としての信用をつくっていきたい」と語る。

 高成長を求めない事業モデルのため、投資家や株主との対話が課題となる。糸井氏は「泊まり込みの株主総会をやってみたい」と話す。会社や社会のあり方について時間をかけて話し合い企業と株主との新しい付き合い方を提案する。

 脱・個人事務所の取り組みはすでに始まっている。16年6月にペットをテーマにしたSNS(交流サイト)「ドコノコ」を公開。今月24~26日にはほぼ日が選んだ商品を集めた「生活のたのしみ展」を東京・六本木で開く。スマートフォンで世界各国の映像が見られるビーチボールのような地球儀の開発も始めた。

 上場に伴って調達した資金は人材の採用に充てる。篠田氏は「普通の会社になることで、アプリを開発できるエンジニアや新規事業の収益化を考えられるビジネスパーソンを採用したい」と話す。(阿曽村雄太)

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