サッポロ「極ゼロ」論争、司法の場に

2017/4/11 22:48
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 サッポロビールがビール系飲料「極ゼロ」が第三のビールにあたるかどうかを巡って国税当局と対立していた問題が、司法の場に持ち込まれることになった。同社が11日、自主納付した酒税115億円の返還を求め、国を相手取って東京地裁に提訴した。

2014年7月15日、「極ゼロ」の再発売を発表するサッポロビールの尾賀社長(当時)

2014年7月15日、「極ゼロ」の再発売を発表するサッポロビールの尾賀社長(当時)

 世界で最も高いとされるビール税率の下で、消費者ニーズに応えるために商品開発を重ねてきたビール会社の企業努力を司法がどう判断するかにも注目が集まりそうだ。

 「極ゼロ」の発売は2013年。生活習慣病の原因となる糖質とプリン体をゼロに抑えた初の第三のビールとして脚光を浴びた。健康志向が高まる中、税率の低さも手伝って人気が高まった。だが翌年、状況が一変する。

 14年1月、国税当局がサッポロに「極ゼロ」の製法を照会した。第三のビールにあたらない可能性があると見たためだ。サッポロは直接対決するのを避け、いったん販売を終了。製法を変えて発泡酒として再発売した。当初の「極ゼロ」が一般の発泡性酒類に該当した場合に払うべきだった酒税との差額分115億円を納税した。

 だが、サッポロはその後の社内調査で当初の製品が「第三のビールにあたるとの確証を得た」として、税の返還を要求。しかし国税当局は退け、昨年10月には国税不服審判所への審査請求も棄却された。

 税の返還を求めて訴訟を起こす場合、国税不服審の結論から半年以内に決める必要がある。ギリギリ半年たった11日に提訴に踏み切った背景には、「ここで返還を断念すれば、株主に説明がつかない」との判断があったようだ。

 ビール類の税制は税額の高い順に「ビール」「発泡酒」「第三のビール」と分かれる。ビール各社は少しでも製品価格を安くしようと、発泡酒や第三のビールに該当する製品の開発にしのぎを削ってきた。国税当局はこれを「税逃れ」とみて不快に思っていたのは事実だ。サッポロに厳しい態度で臨む理由はここにある。

 ただ、日本のビールの税率は1缶(350ミリリットル)あたり77円と世界でも最も高水準だ。ビール会社が消費者の負担の軽い低税率の分類に目をつけて商品開発にいそしんだ結果、日本独特の複雑な税制ができたのも当然の成り行きといえる。

 ビールの税制は今後統一される方向が決まったとはいえ、実現はまだ10年後だ。原料を工夫してビールに近い味に近づける努力を司法がどう判断するか。結果によっては酒類メーカーの製品開発の方向も大きく左右されることになる。

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